03. November 05

大人の音楽の友・驚きの和菓子。

□こんにちは。みなさまの脳内亡命詩人(甘味好き)、なかにしけふこです。輸出用作品各種鋭意作成中です。

読者Kさんより、不昧公もびっくりの和菓子をご紹介いただきました。
ありがとうございます。
その名も「リビドー洋菓子店」。
松江と米子に本店のある和菓子舗「清松庵たちばな」の洋菓子部門です。
Kさんのお話では、「名前がリビドーなのにすっきりとした優等生女子といった感じの味わい」。「和菓子の名前も凄い。棹物に「愛うえお」「艶はにほへと」。でもおいしい。」生菓子も洋菓子のエスプリのあるはなやかさとか。残念ながら「リビドー」のケーキと「清松庵」の生菓子は全国発送していないようで、松江に行ったときにレッツトライでしょう。なお、「性衝動清松庵」の棹物は全国発送してくれるそうです。

□お江戸も負けては居ません。みなさん、「インドラ」と「おっぱいちゃん」をご存じですか。
牛込神楽坂の「船橋屋」、創業100年余のお店です。
いもようかんの船橋屋とは別です。
基本的に非常に端正で切れ味のよい和菓子をつくるお店だと思います。
「革新和菓子」を謳ってもいて、問題作「インドラ」と「おっぱいちゃん」でも知られています。
「インドラ」それは、「インドのどら焼き」。
つまり、カレー味の餡がうす甘いどら焼きの皮に入った物体。
ガラムマサラのねっとりとした香気が衝撃的です。
「おっぱいちゃん」は、林檎餡の入った、若い女性の胸の形をした生菓子です。
バストトップの桃色がなんだかなまめかしいです。
味そのものは、さわやかでよかったと思います。
そのほか、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』に取材した「モーヴィ・ディック」(ホワイトチョコレートがけ生菓子)など、秀逸なものも。
ともかく、「インドラ」は、一度食べたら忘れられません。
レッツトライ。

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29. Oktober 05

火刑台上のジャンヌ・ダルクチョコレート、砕氷船の舟歌、大人の音楽の友・白石かずこ自伝。

□こんにちは。みなさんワルシャワ時間生活からは復帰されましたでしょうか。私は時々、まだ朝の2時半に目が覚めては、はっとします。

□夫がフランス土産にLes Larmes de Jeanne d'Arc(ジャンヌ・ダルクの涙)というチョコレートをもらってきました。ルーアンのAuzouというチョコレート屋さんの製品で、チョコレートがけアーモンドの類です。かりっと炒って糖衣をかけたアーモンドに、ふかふかのスウィート・チョコレートの衣。もちろんココアパウダーはふんだんにふりかけてあります。白地に青文字のパッケージには火刑台上のジャンヌ・ダルクのイラストレーションと、故事来歴が。聖女の涙を食するというしつらえとは、さすがおふらんす、不謹慎にもおいしくいただきました。ごちそうさまでした。ちなみにわたくし、ジャンヌ・ダルクもの映画では、古典的な《裁かるるジャンヌ》もよいですが、だんぜん、ジャック・リヴェット監督の《ジャンヌ》二部作がすきです。

□ふと耳の奥にDmitri Levkovich氏のひく、オールの水さばきも鮮やかな、オンタリオ湖に注ぐドニエプル河の《舟歌》がなつかしくよみがえるのでした。そこで《舟歌》の楽譜買いました。いえ、ウチには夫の仕事柄、いろいろなのがあるのですけれど(中古楽譜屋で買ってきたどこかの音大生のレッスン譜らしきものまであります)、新しく譜読みするなら自分のがほしいなあと思ったのです。ナショナルエディションは結構なお値段するので、パデレフスキ版です(といったら、「ナショナル・エディションうちにあるよ」と夫が言っています)。ああしばらく砕氷船みたいな譜読みです。

□メキシコ大使館の朗読会に招ばれたので、その予習で白石かずこ女史の自伝『黒い羊の物語』(人文書院)をよみました。女性が性や欲望を詩に書くことが抑圧されていた時代に、「男根詩人」「性詩人」と非難されながらも、ロックスターのように勇敢に大らかに女性の生命力や性愛を詩に綴ってきた先駆者で、75歳になんなんとするいまもなお、「詩のロックスター」として旺盛に活動しておられます。フリー・ジャズと朗読のセッションの名手で、世界の詩人たちとも積極的に交流しておられます。実は、白石女史の朗読を聴くのは今回がはじめてなので、非常に楽しみなのでした。
『黒い羊の物語』、圧倒されました。いや、やはり、早熟な詩人の、壮絶で力強い人生です。かつて白石女史が翻訳した、女性の愛と生命力を力強くうたうアメリカのレズビアン・フェミニスト詩人、Adrienne Rich女史の作品も、リッチ節にしてかずこ節な雄渾なる訳文も切々と思い出されました。物語のあった時代はいいなあ、と素直に思いました。もっとも、昨今の風潮としては、女性の詩と言えば性愛のグロテスクやフラート至上主義、のようなところがなきにしもあらず、そのような風潮を女史がどう考えておられるのか、そのあたり、とても興味があります。身のうちからあふれる生命力や愛を詠んでいるのだから、「男根詩人」「性詩人」といわれても本望だ、と言い切った女史ですもの。

□そこで、「大人の音楽の友」でございます。女性の豊かな生命力あふれる「女陰ピアニスト」といえば、やはり、アルゼンチン出身の、最近は室内楽を主になさっている、あの方でありましょう。往年の《クライスレリアーナ》素敵でした。男性の生命力にみちみちる「男根ピアニスト」といえば、やはり、アルトゥール・ルビンシュタイン先生をおいてはほかにいないでしょう。彼の弾く《英雄ポロネーズ》は圧巻です。あんな優雅なマッチョは不世出です。

□「大人の音楽の友」シリーズと、「乙女と乙女の心を知る男子のための西洋古典音楽鑑賞」シリーズ、これからときどき配信します。「乙女…」では、サンソン・フランソワ先生の演奏映像DVDのボーナス・クリップに入っている、ベンノ・モイセイヴィッチ先生のバリッとしたタンホイザー序曲の話なども、いずれいたしましょう。背筋もまっすぐにバリバリ弾き終えて、「それではみなさんおやすみなさい」カメラにむかってにこり。ああ。モイセイヴィッチ先生、かっこいい。素敵。
はっ。これでは「かっこいい列伝」ではないか。

□念願の西脇順三郎全集(新版)がきました。ムフフフ。もっとも、あけてしまうと詩ばっかりよんで勉強しないので、春になるまでしばらく封印しておかなければ。
□それではみなさまよい週末を。朗読会のはなしはまた書きます。

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