11. Juni 06

黄金の馬車、など

□「玲瓏」64号に短歌20首「ぱすとらる」出ました。次の20首をそろそろ考えなくてはいけません。

□玉蹴り始まりましたねえ。
出場チームの主要選手写真付き一覧を見ました。みなさんお強そうですねえ。ベッカムもぐぐっと山賊の親分みたいだ。そこへゆくと日本代表、顔からして迫力負けしてるではないか。
サッカーのことは妹に任せてしまって私はよくわからないのですが(浦和レッズは好きだ)、ドイツ×ポーランドは見たいような気がします。
シュルホフの《シンフォニア・ゲルマニカ》みたいな、ドイツが負けてのんだくれながら国歌をがなるよれよれオヤジが出るやいなや。

□ご紹介遅れてましたごめんなさい。『黄金の馬車』12号いただきました。高輪の古書肆兼ギャラリー書肆啓祐堂のフリーペーパー(限定500部)です。装幀はアトリエ空中線作品。すみれ色の少しパールの入った光沢感の表紙に和紙風の遊び紙、あんまりすべすべなのでなんどもまるめたりなでたりさすったり。良い紙だー。トレーシング・ペーパーに「圏外です」と刷ったものが中に綴じてあるのが妙に可笑しい(いや、実は、私にとっていちばんバカウケしたのはそれかもしれない)。執筆陣は啓祐堂にゆかりのある多士済々。イマドキのウケを狙っていないところが心地よいです。

□恩師の退官記念作いただきました。これについてはまたのちほど

□しごと上の必要で、レオナルドの謎の某小説再読しました。
しかし、はっきりいって、何回読んでもどう考えても駄作だな、これ。
なにもかもが安普請。しかも安易。
いや、ね、『薔薇の名前』とか『フーコーの振り子』と比べちゃいけないのわかってるんですが…
(みなさんこれ読むくらいならウンベルト・エーコ読みなさい、と一喝したらどんなに胸がすくだろう…)
だしにされるレオナルドも気の毒だ(今度はミケランジェロだっけ?そ、そんな!)
映画見に行かなくちゃならないのですけれど、気が進まないなあ…

□詩のことを考えると悲しくなる今日この頃、しばらく隠るかもしれません

□詩集に進展ありましたらまたお知らせします(ほんとうに今年中に出るんだろうか)。

□鋼琴練習。ショパン10-2,5、スケルツォ2(舟歌より先にこっちが仕上がりそうだ)、平均律2巻D-dur, d-moll, Es-dur, e-moll(ペダル無しで弾く)
クライスレリアーナ弾きたいのだけど楽譜が埋もれてしまったみたい
オルガンの楽譜高いよう

□教会から週報その他届く。あのいかにもメソジストの元気はつらつハイテンション風味に休みの日に心身をチューニングしても疲れない強さが必要かもしれない。

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19. Mai 06

で、できた(2)|ぱろうるの跡地|なぜゴスゴスゴスゴス

□みなさまこんにちは。
ふうう先週末、詩集第2稿を出しました。長かった。かなり良い感じにまとまりました。
新たな題材も仕入れ中ですが、やっと仕事に戻れます…。

□池袋リブロ3階のぽえむぱろうるの跡地に行ってみました。海外アート本のコーナーになっていました。黒い本棚はそのままです。ますますどす黒い色彩が溢れていました。地下1階の「詩」のコーナーは、海外文学の隣に来ていました。棚2棹分とはいえ、ぐっと目立つポジションです。書肆山田の本が平台にたくさん並んでいました。

□それにしても大規模新刊書店の、特に文芸書・人文書のコーナーに行くと本当たりする今日この頃。なにしろ、色彩の渦に圧倒されます。本の背表紙の色からしてにぎやかで、「私を手にとって」「私を手にとって」と自己主張しているよう。こんなに読んでいない本がたくさんある、ベンキョーしなくちゃという強迫観念にかられることも。大学の図書館の空気は「私を手にとって」とざわざわしてはいないので、だいじょうぶです。ともあれ肉喰って運動してスタミナつけなきゃ自分

□渡辺めぐみさんから『光の果て』(思潮社)をいただきました。クレーの模写風の表紙はバッチグーです。しかしです。頁を開くと、少女型意識の狂気や注射器や血がいっぱい出てきます。日本のある種のキリスト教徒のソサエティ特有のオハイソで衛生的な想像力の世界を精神的なルーツとして(個人的には、キリスト教ってもっと獰猛な生命力もある宗教だと思うのですが…←もしや私、積極的に地雷を置いている!?)、「正調現代詩」を目指している人の作品なので、いかにもゴスロリバンドの歌詞に出てきそうなアイテムをたくさんちりばめてあるあたり、意図的なのか、それともてんねんなのか、はかりかねるところがあるのですが、イマドキのサブカル感には事欠きません。ここに「祈り」や「再生」の静かな気分を読み込むのは、かなり「正調現代詩」慣れしていないとたいへんかもなあ。たしかにそれらしきモチーフも出てくるのだけれど、やっぱり、なにしろ、血とか注射器とかとらわれの今にもかき消えそうな少女のモチーフのほうが強烈で…。いや、もしや「正調現代詩」の気分がサブカルってことなのか!?
ゴスロリミュージックのユニットの人が、ライヴで歌い踊ったらかなり独特な効果をあげるでしょう。渡辺さんには本意でないかもしれませんが、そういうカンジで舞台化すると面白いのでは…。ある種のヴァルネラビリティをもっている女性の読者には「来る」内容なのではないでしょうか。私の趣味ではないけど。

□ドミちゃんについてはまた書きます。12月にカーネギーホールで弾くようです。

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19. November 05

雑誌まとめ読み。(音楽の友、ムジカノーヴァ、ユリイカ)

こんにちはなかにしけふこです。大感謝週間終了です。落ち着いて書き物ができます。

■ショパンコンクール特集の雑誌についてはあとで書きます。
音楽の友のエッセイだけちょこっとだけ立ち読みしました。
本選に進めなかった人の話では、ヴンダー君マルコ君ちらりと出てました。
ジェヴィツキ君もずいぶんな言われようで気の毒です。
それにしても、れ、れふちゃんレフコヴィッチ氏はどこに…

■ユリイカ11月号「文化系女子カタログ」
さいきんますますぐにゃぐにゃのユリイカ。
「我見いだせり」ではなくて、実は、yuri ikaと読ませて、りりー・すくうぃっどなのではないか。ますます問答無用にぐにゃぐにゃ力を増しています。とりあえずタイトル買いしたわけですが、やはり今回もサブカル色満開です。
こんなの、文化系女子カタログじゃないやい。と思いました。まんがの話をするんだったら、「のだめ」に関する考察くらいあってもいいと思うのですが、のだめののの字もありませんでした。
1200円で神保町「ムアンタイなべ」か、池袋「マルハバ」のランチセットを食べるべきだったか、はたまた新宿伊勢丹「ジャン・ポール・エヴァン」のショコラ・ショーとマカロンのセットにするべきだったか、少々悩ましいところがあります。しかもテーマがテーマだけに、少なからず無品で露悪的なアエラ風味。どうも私の実感とはかなりかなりかけはなれた世界であるようです。あまりに怪しいので、しげしげよみかえしてしまいました。

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08. November 05

先週のピアニスト検索数ランキング(のちほど)/最近買ったCD/庭園別冊5&妃13号、

□みなさまこんにちは。なかにしけふこです。大感謝週間突入です。
先週のピアニストランキングはのちほど貼ります。→「つづき」をおしてごらんください
レフコヴィッチ氏(5件)、ヴンダー氏(3件)で検索なさったアナタ、いい人です(涙

□Hyperionのウェブサイトでバード《大礼拝》、ハフ先生&イサーリス先生のブラームスチェロソナタ集、はーめりんのピアノ弾き男アムラン大明神のシューマンを注文しました。もちろん支援の募金にも協力…

□いただきもの。
「庭園 別冊5」(中村鐵太郎さんより。ありがとうございました)
和菓子の「ささま」の包み紙を思わせる、秋色の松葉を散らした装幀です。
箱の中に入っているのはコンテンポラリーデザインの生菓子干菓子、ミセスエリザベスグリーンマフィン、クレマ・カタラーナ風のプリンと黒砂糖を使った大きなむっちりとたべごたえのあるねりきりなど、いずれも人工添加物不使用の、現代詩菓子が苦手なひとにも食べられるものばかりです。お菓子の詰め合わせと考えればなるほどの、定価千円(前回の700円から値上げしたような気がする)。

中村恵美さんの「パハレラ、風の庭」。
第2詩集『十字路』の、きりしたん殉教ドラマも記憶に新しい彼女の作品を読むたび、なぜかコスチューム・プレイものの宝塚少女歌劇のお芝居を思い浮かべてしまいます…
今回のシリーズは、麗しの都、バルセローナを舞台にした、パブロ・カザルスが主人公のもの。
ぜひ群像劇で見てみたい。
パブロ、君のチェロの弓がくろす、くろす、くろす!
鳥がPeace Peace Peace!
とか、そういう雰囲気が、妙に印象的です。
僕たちの旅がここから始まるんなら、もちろんヒロインもこれから登場するのだよねへいパブロ!へいパブロン!

個人的には、バルセローナは、もっとおとなっぽい、艶っぽいまちだという記憶がありました。
おおきな凍ったクレマ・カタラーナ、グエルパークにカーサ・ミラ、ランブラス通り、すきだすきだだいすきだ。
ただ歩くさえも、まちと恋しあうようなきもちになるのでしたけれど。

渡邊十絲子さんの「闇湯」が圧巻。女子の成年儀礼として湯殿で男性と交わる慣習のある(夜這いの一種?)、どこかの山奥の村の少女の一人称で、性に目覚めた、もうすぐ処女を喪失するであろう少女の湯殿参りのめくるめくとまどいと期待が、淡々とした熱のこもる文体で描かれていて、とても自然でおおらかでした。
しかし、こういう話題って、いまどきともなれば、民俗的な場面設定じゃないと効果的に書けないものなのだろうか…私自身に向いたテーマじゃない気はするのだけれど

「妃 13号」(田中庸介さんより。ありがとうございました)
90年代初頭の現代詩シーンをまさにはじけるポップな感覚で疾走した「妃」が復刊されました。中ザワヒデキ氏による「方法」運動の総括が面白かったです。このアーティクル一本だけでも、永久保存版です。個人的には、60年代の祭りの季節にあこがれる若者たちの「前衛よもういちど」のパフォーマンスという様相もあったのではないか、と感じるところもなくもないのですけれど。
ぜひ、方法運動の総括の、三輪眞弘バージョンや、足立智美バージョンも読みたいものです。

□やっぱり胸の底から歌い上げるような、おおらかな歌にかつえているかもしれません
またのちほど

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13. Oktober 05

詩の雑誌、など。

■ショパンコンクール観戦記を書くようになってから、飛躍的に閲覧者数が増えて、驚いています。ひよらず妥協せず俗流少女趣味におもねりもせず、はーどにたのしく路線で続けます。今後ともどうぞよしなに。このブログをよんで、なかにしけふこの作品に関心をもったかたは、ぜひ、書肆山田の詩誌『るしおる』58号掲載の作品もどうぞごらんください。個人誌『苑生』2号は残部僅少です。ハフのマスタークラス聴講記ものっているのですけれど。
東京は時々暑くなったりして、なかなかに体温調節が思わしくありません。ショパン酔いがぬけたところで短歌はたくさんできましたが、今日はまだ2次予選の中継は聴いていません。明日の朝の再放送枠のレフコヴィッチは聴く予定です。待て続報。

■所属誌。『玲瓏』9月号来る。次号から出詠することになっているのだけれど、次号も塚本邦雄追悼特集らしい。塚本の謦咳に接したこともない私が、塚本追悼短歌などよんでいいものなのだろうか。そこは気になる。にしわきくん、こと、西脇順三郎が題材ならいくらでも書けるのだけれど。『かばん』10月号来る。どういうわけか今月はポップ短歌がいやに多い。「ネット短歌」にかんする自分の北国酔いよっぱらい啖呵が載っている(短歌は欠詠した)。正直いって私、ほんとうは「ネット詩歌」も「ケータイ短歌」も、どうでもいいのだ。静かなところで静かに詩を書いていたい。某題詠マラソンについては2月から考え方がまるっきりかわってしまった。浮かんではログの奥底へ消えてのみこまれてゆくとてもフラットな掲示板の喧騒の渦に自分の作品を放り込むのはとても気が進まない。出詠さえしていない。某題詠マラソン、棄権まっしぐらだなあ。やっぱり静かなところで静かに詩を書くべき時期だと思う。

■『羚』17号を神谷光信氏から頂戴する。この冊子のキリスト教コンシャスでシーリアスな芸風に接するたび、宗教性・形而上性とやらをもっと軽やかに有機的かつ自然にかたる言葉はないものだろうか、と思う。カトリックの《典礼聖歌》や、日本基督教団の《讃美歌21》に、歌詞も曲もあかぬけない作品が目立ったりするのはなぜか、といったことを、しばしば思ったり考えたりするのだけれど、こういう話題は日本のキリスト教文化研究では必ずしも歓迎されないんだろうなあ。チッ。

■『ミて』10月号を新井高子さんから頂戴する。翻訳詩や邦楽演奏家のツアーレポートものっていておもしろい。オネル兄弟の詩集出版にむけて募金活動を始めたとのこと。

■『神秘の前に立つ人間  キリスト教東方の霊性を拓く』(新世社)を編者の荻野弘之先生からいただく。真生会館での連続講演会を書籍化したもの。ニコライ堂の聖職者でもある、日大の中西裕一教授(←なかけふのしんせきではない)のアトスレポートは、復活祭前の大齋期間中の修道士ダイエット(?)体験記としても読めて興味深い。とても大胆に要約するならば、日課にしたがう祈りの日々のなかの食生活は、大齋期間中なら、肉・魚・卵・乳製品・油ぬき(甲殻類はオッケイ)、一日二食(一食は粗食)。食堂に集まって静かに食べるそうな。一日一食の日、絶食の日もあるそうな。絶食が数日続いた日の「大齋だねえ、とても清らかな気持ちだねえ」というギリシャ人修道士のことばがとても印象的。豊かで奥深い世界が広がっているようだ。東方正教会の修道院での齋の体験記を、撮影可能なところをとったきれいな写真とレシピもつけて「魂からきれいになる--ギリシャ修道士(修道女)ダイエットの世界--」とか題名をつけて、ムックにしたらさぞおもしろかろうと思うのだけれど。(←売れないか。)

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25. September 05

ポポイにしわきを語る会。

☆秋がくると元気になります。このままどんどん寒くなってほしいです。

☆土曜日は、新倉俊一先生のお招きで、駒澤大学中央講堂で開催された「西脇順三郎を語る会」に行ってきました。たいへん有意義なものでした。スピーカーは『西脇順三郎、永遠に舌を濡らして』を出された中村鐵太郎さんと、小千谷の「西脇順三郎を偲ぶ会」の山本清さん。
中村さんの、「神話的・古代的なものと現代詩」についての問題提起には大いに考えさせられるところがありました。もういちど西脇にたちもどって考えて、詩を書こう、というアイディアには賛成です。山本さんの、最晩年の西脇の思い出話がとてもおもしろかったです。もう、おまんがの宝庫です。「ぼくはこどものころから好奇心のかたまりだった。それと、長生きしたから、いいしごとができたんだ」にしわきくん素敵です。テレビドラマや映画にしてもおもしろい人なんじゃないでしょうか。一度小千谷にも行ってみなくてはいけません。
お茶会ではいろいろな注目すべき人々に出会いました。「おまんが・にしわきくん」が意外に好評で、おどろきました。西脇の仲間たちの気持ちのすがすがしさには、若者としては、大いに励まされました。いい夏休みのしめくくりになりました。来年もとてもとてもたのしみです。

☆いただきもの
La Polvere 4号(佐藤弓生さんより) 
笹原玉子さん、来住野恵子さん、野村龍さんの同人誌。やわらかな、花の香りのすることばでみちている冊子。彼らの作品ではとりわけ、キリスト教的な表象が意識されているのだろう。
「宗教的イマジネーション」を語ろうとして、神秘的合一の表象をもちいる作品が並ぶ。マルティン・ブーバーのいう「我と汝」とか、花嫁神秘主義とかを思わせる「聖なるもの」との親密さを喚起する表現がふんだんにもちいられる。たしかに、今時の時代の聖性への渇望をいいあらわして興味深いのだけれど、おそらくは、宗教的共同体の外側から宗教的なものにあこがれると、こんなかんじになるのかもしれない、という印象も受ける。もっとほかの語り方もあるだろうと思えてならない。さいきんの「宗教っぽい日本語の詩」については、もうすこし事例を集めて、そのうち批評を書きたいところ。

それにしても、スコットランドの紅茶エッセイなら、私はもっとハードボイルドなものを書くだろう。「君はアールグレイかね。」「ええせんせい。」

ふと思ったこと。来住野恵子さんはフランドル旅行エッセイで、フランドル楽派への傾倒を語っておられるけれど、もしかして、ヴォーカルアンサンブル・カペラ(の、ミサ形式の演奏会)とか、お聴きになる人なのだろうか。

分裂機械の最新号(ヤリタミサコさんより)
60-70年代アンダーグラウンド風のイマジネーションを今もなお保ち続ける冊子。いつ読んでも同じ味がする。グノーシス主義文献を読んで覚えるなんともいえない暗澹とした怒りと絶望と選民意識の気分がすきなかたにはおすすめする。この先もなお、往事の気分満載で進んでゆくのだろうなあきっと。

☆明日から新学期です。しごとするぞしごとするぞしごとするぞ。なので、じゃましないでね。

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16. Juli 05

最近のいただきもの。

ミて 74号
新井高子さんありがとうございました。個人誌になってから、いちだんと読み応えが増したように感じます。日本語で書く海外出身の詩人の作品が読める貴重な雑誌のひとつ。『春と修羅』に取材した、新井さんの花粉症の詩「春の修羅」にお腹をかかえて大爆笑。スィナン・オネル氏とイナン・オネル氏のトルコ詩紹介、陰翳とうまみのある世界で、良い味出しています。同性愛者の友人との交友をつうじて、ついどっぷりはまってしまう常識的なモラルのありかたを考え直すディヴナ・トリッチコヴィッチさんのエッセイ「彼女の 彼は 彼女だ」が心にしみました。

木村慧子『シルヴィア・プラス 父の娘、母の娘』水声社
木村慧子さんどうもありがとうございました。精神分析的視点からシルヴィア・プラスの詩を読み解く研究。傷ついた女の心をあくまで誇り高く痛ましくうたいあげるプラスの詩によりそう、デタッチメントの利いた共感的な叙述に好感がもてます。メラニー・クラインや、ジュリア・クリステヴァらの方法論は、ファッションとして消費されるべきものではないのだ、と実感されます。読んでいてとても励まされました。
読めば読むほど、孤高の場所で天啓のような詩を書く女の詩人たちに貼りつけられるレッテルや、彼女たちが放り込まれる環境のむごたらしさが胸に迫ります。ジャネット・フレイムもそうですけれど、鋭敏であるがゆえに精神医学の治療の対象とされても、強く生きてゆこうとした女の書き手たちがいた、という事実は、病気の名に甘えた書き物を書くことを大目にみがちな今こそ、改めて重く受け止められるべきではないでしょうか。

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01. Juni 05

いただきもの。

いただきもの。

歴程 2005年3号・4号 (川口晴美さんより)
あの、歴程、である。老舗らしい端正な造本。しかし、そもそも中綴じ製本だということを知らなかった。妙に安堵する。

別腹 6号(佐藤弓生さんより)
ムッシュBB氏編集の「文藝すきま誌」。「かばん」周辺+アルファの書き手たち。みんなたのしそうに書いているのが好感度大。いまから次号が楽しみ。

ユルトラ・バルズ 12号(杉本徹さんより)
阿部日奈子さん編集。東京発のここちよい、気高い抒情。とても励まされる。

☆ラトゥール展。炎と闇の描写にはたぐいまれな技術を感じる。おじさんおじいさんの十二使徒に感涙。イヤホンガイドがこれでもかと感動を迫るのには閉口したけれど、確かにあるとよりわかりやすい、かもしれない。

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20. Mai 05

残部10部。

☆前の更新から2週間あいてしまいました。
なかけふ、生きてます。
しかし、生きてゆくって大変ですね。

☆「苑生」、残部10部となりました。ご希望のかたはお早めにお知らせください。
まんが「Flux☆けふうさぎ」「にしわきくん」、けふ文字対訳版に反響ありです。
メールはこちらへ。
(リンクのメールアドレスから、「keff-」をはずしてお送りください)
今回、書店への委託はいたしません。
都内城北地区の某詩書専門店、士気低すぎです。
詩はおもしろくないものでなくては、みたいな態度が、詩を殺すのです。

5月28日、京大で行われる「京都の詩人たち」のリーディングイヴェントで、若干冊置いていただく予定です。

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26. April 05

「苑生」2号、出来ました。

詩歌誌「苑生」2号、出来ました。500円+送料。
コピーホッチキス製本ですが、なかなかの手仕事風味のものにしあがりました。
付録「Keff」もよろしく。
投げ銭、もちろん、大歓迎。
限定100部、増刷予定なしです。
ご所望のかた、こちらまでおしらせください。

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04. Februar 05

今日の詩歌の本。

書類関係で駒場と白金をまわる。7km歩いたのに間食しなかった自分、エライ(謎)。ほくほく。
先輩方がなかなか就職できず博士論文も書けずの報に接する。
眉根をひそめて「就職ないからねえ、たいへんだねえ」。
そんな話はききあきた。ひとのことをきにしていて一緒に落ち込んでいてもはじまらない。道を信じてまっすぐあるけ。あるきぬけわたし。
「いつもよろこんでいなさい」とか、「空の鳥野の花をみなさい」を心にともすのだ。

☆☆☆

多田智満子『遊星の人』(邑心文庫)[装幀・編集=高橋睦郎、栞=岡井隆、小島ゆかり、穂村弘]
遺歌集。とてもとても近しいものを感じる。さいごまでみずみずしかった智満ちゃまなのだった。
詳しくはまた改めて。
平らなところに置いておくと灰色で、たててみるとターコイズの光る布の表紙がとてもきれい。
表紙のホロスコープは本人のものだろうか。すこしきになる。
植物の絵は高橋睦郎さんちの庭の植物、のような気がする。栞裏表紙の時計草など。
栞の心のこもった文章も読んでいてすがすがしい。遺稿集『封を切ると』の、特に栞に感じたいたましさとはまた別の感触。

ディヴィッド・ロッジ『作者を出せ!』(高儀進訳、白水社)
「ロッジの新訳がでましたよ~」と阿房鳥舎の江口飛鳥鳥先生激推。朗読ユニット阿房鳥舎はロッジ節ファンクラブでもあるのだ。これから読みます。ともあれ、仕事関係の書物(含、アリスター・マクグラス『宗教改革の精神』(←おもしろい)ほか数点)をまずは片づけてから。

藤原安紀子さんから第一詩集『音づれる聲』(書肆山田)をいただきました。どうもありがとう。既発表作品も含めて大胆に再構築と改稿を重ねて一冊の本になった藤原ワールド、光の成分のおおい濃密な映像的感覚を楽しめます。書肆山田デフォルトの装幀も彼女の作風に合っているとおもいました。おめでとう。

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16. Januar 05

本日のケーキ。本日の詩歌の本。本日の音盤。

本日のケーキ。

15日
☆おともだち宴会お手製ケーキ各種。美味。
☆キッシュ(宴会用に作製)

16日
☆メゾン・ド・ミクニ モンブラン
材料はみごと。グランマニエのかおりも、栗のペーストも、生クリームも、チョコレートのビスキュイも。
どれもほんものだ。
でも、小さい。
しかも600円もする。
宝石のようにしみじみ味わうべき味。

本日の詩歌の本。

水原紫苑『あかるたへ』(河出書房新社)

ほのみえる霊犬のかげ。
「戦争の木」に息をのむ。

本田瑞穂『すばらしい日々』(邑書林)(←いただきました。ほんださんありがとう)

表紙の型押しがすてき。
淡い色彩の、たしかな生の実感と痛み。
雪の降る土地を思う。

くわしくはまたのちほど

本日の音盤
19世紀生まれのフランスのオルガニストたちによる歴史的録音
ヴィドールの自作自演、アンドレ・マルシャルのフランク《コラール第3番》、マルセル・デュプレのヘンデル、みごとなますらおぶり。
伽藍が天の肺腑のようですらある。

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12. Januar 05

ひろがれひろがれけふ文字。

いろいろなところでの紹介を。

正岡豊さんの「折口信夫の別荘日記」 12月25日付でこのサイトが紹介されています。
「ハイスペックの向日性」なるほど。

リンクはこちら

Googleをかけてみておどろきました。
わたしの作品が「詩と思想」新人賞にノミネートされていたそうです。「苑生」に載せた鳥インフルエンザのうた(「エピクローシス」)を川中子義勝先生が推薦作品に推してくださり、第2次選考で相沢史郎さんが一点をいれてくださったそうです。

第13回詩と思想新人賞

精進します。

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29. Dezember 04

ことし頂いた詩集。

ことしいただいた詩集。

佐藤弓生『真珠区異聞』(私家版)
森川雅美『くるぶしのふかい湖』(思潮社)
佐藤勇介『きみはなにをするの』(七月堂)
杉本徹『十字公園』(ふらんす堂)

weiter lesen "ことし頂いた詩集。"

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28. Dezember 04

今日の詩歌の本。

野村喜和夫『現代詩創作マニュアル』(思潮社)
 思潮社が新しく創刊した「詩の森文庫」(新書判)の一冊。ものめずらしいので買ってみた。装幀はどこかちくま新書に似ている。
 中国などでの講演を新書用に改稿した著作。「現代詩手帖」的歴史観に依拠した戦後詩史とそのレトリックを紹介する。「現代詩手帖」の新人投稿欄で好成績を狙いたいひとにはおすすめだろう。
 現代詩手帖的な歴史観からすれば、現代詩の歴史は野村がいうように「ハイカルチャーとしての現代詩の失墜、隠秘化と通俗化、現代詩の終焉」というストーリーになるだろう。しかし、現代詩は「ハイカルチャー」だったのだろうか。「現代詩」を支えたマルクス主義や実存主義を担ったひとたちは確かに社会階層的には「ハイカルチャー」の担い手であったのだろう。でも、「現代詩」を代表する荒地派や60年代の革命詩人たちの作品をよむと、そこには「打倒伝統的文学!打倒ハイカルチャー!」「打倒ブルジョア文学!」「私たちは貧しい人民の側にいる!」という叫びが渦巻いているように感じられる。そのような詩が主流であれば、古典に依拠した作品を書いた詩人や文学者たちが「孤高」とされるのは理の必然だけれど(ことしの「現代詩手帖年鑑」の鼎談にもでてきた、高橋睦郎に対する表層的かつ一面的な評言をみよ!)、むしろ古典を愛する読者や、旧きよき「教養」の価値を信じる読者からすれば、伝統と文化資産の蓄積がなければ深く理解できない詩のほうがよっぽど「ハイカルチャー」にみえるのではあるまいか。このあたり野村さんはどのようにお考えなのだろう。
 また歴史家根性で感想を書いてしまった。

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17. Dezember 04

倫敦西脇ツアー。

新倉俊一先生の『評伝 西脇順三郎』(慶應義塾出版局)を入手。新倉先生にしか書けない本だと思う。彼の『詩人たちの世紀 エズラ・パウンドと西脇順三郎』(みすず書房)とあわせて読むとさらに世界が広がる。

結構見知った地名が出てくるので、London A to Z(倫敦をゆく人必携の地図)とインターネット検索をとりだしてごそごそ。一時期倫敦で西脇が寄宿していたRoland HouseはOld Brompton Roadにある。あのあたりは宿屋がたくさんあるのだった。おハロッズの裏手のあたりだ。V&Aや科学史博物館、ジョン・ヘンリー・ニューマンに縁の深いオラトリオ会の教会(London Oratory)の近くである。ロイヤルアルバートホールだって目と鼻の先だ。Roland Houseはアパートメントタイプのホテルになっていて、ウェブサイトでみるかぎりでは内装もモダンに改装されていてきれいらしい。割引サイトから予約しても、ストゥディオでも一泊100ポンド以上はする。牢獄のような学生寮に泊まったりお友達のおうちに居候したりの貧乏かけだし学者にはなかなか手がでない。
tripadvisor.comのRoland Houseの記事
ukhotelfinder.comのRoland Houseの記事

Small and Elegant Hotelsのサイトをみたら、ストゥディオは一泊85ポンドからとあったけれど。それでもやっぱり二人以上で泊まらないとお得じゃないなあ。

Old Brompton Roadに移る前に住んでいたというHornsey Riseは倫敦北部の高台にある。去年寄宿していたあたりからもそう遠くはない。Archwayから東に入ってHornsey Riseに出て、Parliament Hillを横切ってBelsize Parkへ、ハムステッドの丘を降りて西脇とマージョリ・ビットルが結婚式をあげた屋敷のあたりをかすめ、なんだかひとけのない淡島通りといった風情のAbbey Roadを下って横切って(もちろん横断歩道で記念撮影)リージェントパークに出る徒歩ツアーも結構いいかもしれない。などと妄想する。倫敦。倫敦。愉しい倫敦。それにしてもあの冷たい空気がなつかしい。

ちなみに
A to Z Map Companyのサイト(英国の各都市用にA to Z mapをつくっている)はこちら
英国の地図検索サイトmultimap.comのサイトはこちら

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03. Dezember 04

「苑生(Hortus)」若手詩誌トップ20に@現代詩手帖年鑑

「現代詩手帖」12月号。大学生協で立ち読みしました。
石田瑞穂さんがお書きになった「2004年詩誌展望」。
若手詩誌トップ20に「苑生」が「鐘楼」と並んで入っています。
ラテン語表題の「Hortus」が目立つ表紙デザインなので、誌面では「Hortus」として紹介されていますが、「苑生」と同一の冊子です。「ほーたす」ではなくて「ほるとぅす」とよみます。
池袋のぽえむぱろうるに委託した創刊号は売り切れました。近く補充する予定です。なお、わたしの手元に50部ほど残部があります。ぜひ読みたい、と思われる方はお知らせください。
2号の発行時期など、ひきつづきお知らせします。
待て続報。

ところで。
石田氏の評言では、「ニューウェイブのオルグの感性」だそうだ。
「オルグ」ねえ。「ニューウェイブ」ねえ。
どれもいまひとつぴんとこないいいまわし。
いまどきの学生自治団体やサヨク系学術団体の青年たちが身近に結構いたけれど、彼らもふつうに「宣伝」とか「勧誘」とか言っていたように思う。

うつくしいものがすきなひとたちと、うつくしいものをわかちあいたい、ということは「反時代的」なのかしらね。

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22. November 04

今日の詩歌の本。

岡井隆『伊太利亜』(書肆山田)
横書き行分け短歌でイタリア旅行を語る。湿度の低さも風物に分け入る眼も実に鷹揚。格好いい。
泰西名画を語るにありがちな過度の思い入れや情念からは無縁の、余裕綽々に本質を貫く境地も読んでいて爽快。
いいものをみた。

とはいえ。
「現代詩」なるものにふれすぎて、とても疲れている。
私が「詩」だと確信するものは、「現代詩」の世界では「詩」としては扱われないらしい。

あえて目に見えないより高い領域との接触を断って世界への悪意と呪詛と卑小な感覚のあれやこれやをうたう詩ばかりではないとはいっても、そのような姿勢は、理性では理解できても、魂が共感を拒む。

短歌は読んでいてもそれほど疲れないのだが。

しばらくは古典に沈潜して、みずからの境地を磨くときだと思う。
もともとは古典読みの立場で書いているところから出発したのだから。

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