13. März 06

ドミちゃーん!!!!(2)

◇こんにちはなかけふです。さっきアーリンク・アルゲリッチ財団のウェブサイト見ましたが

ドミトリー・レフコヴィッチ君、ヒルトンヘッド国際ピアノコンクールで優勝だそうです
やったー(涙)
ドミちゃーん!!!!(涙)
ごほうびはカーネギーホールでリサイタルなのだそうです。
ああ、いかにもNYCは遠い。

高松国際杯、来るかなあ?????
とってもとってもききたいぞ

それではまたのちほど

追)ヒルトンヘッド国際杯のウェブサイト見ました。ドミトリー・レフコヴィッチ君、本選ではチャイコフスキーの1番協奏曲弾いたそうです。おおうそれはさぞかしうるわしいことであろう(遠い目←しかし、あの曲の第1楽章の冒頭なのですけれど、武蔵野人なかけふといたしましては、そのむかし、なぜか高崎線から信越本線に入るあたりの鈍行に乗っているとふと思い出されたことなどあったものでした。さすらいびと幻をみて踊る風情の音楽なのにね)。
たいへんラヴリーなお写真も出ていました。なんだかルネサンス絵画に出てきそうな感じではないか…。

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12. März 06

どみちゃーん!!!!!

◇河津聖恵さんの現代詩手帖文庫出版記念会に行ってきました。いや、あんなにたくさんの女性の詩人が集まっているところをはじめてみました。河津さんのお人柄にも作品にも國高魂がみなぎっているのも感じました。いやあ、良い会でした。

◇それはともかく、ドミちゃん、こと、ドミトリー・レフコヴィッチ君ですけれど!!!!!ひるとんあたま国際杯(ヒルトンヘッド国際ピアノコンクール)、本選に残ったじゃないですか!!!!
http://www.hhipc.org
がんばれーーーー勝てーーードミーーーー(感涙)
きめたきめた。高松の2次聴きに行こうっと☆

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18. Januar 06

さいきんのドミトリー・レフコヴィッチ氏|ハフ先生の合唱曲|おくればせながらトルプチェスキ氏

■みなさまごぶさたしております。はらぺこあおむし状態で情報消化中、なかけふ@論文作成中、です。とりあえずこのはなしだけはかいておこうということででてきました。ええ、詩の話は巣ごもり期につき、春まで冬眠します。

■「世界のピアノコンクールえんま帳」ことアーリンク・アルゲリッチ財団のウェブサイトを覗いてみました。http://www.alink-argerich.org
われらがドミちゃんことドミトリー・レフコヴィッチ氏、アリゾナ州立大学で行われたUSASU ベーゼンドルファー国際ピアノコンクール(http://herbergercollege.asu.edu/pianocompetition/home.html)で2位に入ったそうです。3月にはヒルトンヘッド国際ピアノコンクール(http://www.hhipc.org ←ジュリアード筋のはなしでは、アメリカの音楽学生が腕試しに受けるコンクールとのこと)で、かのポストモダンのハイパーピアニスト山本貴志君と対戦するとのこと(2/14追記→公式ウェブサイト見ました。山本君は出場しない模様です)。なお、このコンクールとヒルトン一族はとくに関係ないそうです。
ドミちゃんいいぞがんばれ。応援します。

■スティーヴン・ハフせんせいのウェブサイトみました。
http://www.stephenhough.com
倫敦のウェストミンスター大聖堂(カトリック)のクリスマスコンサートで、ローワン・ウィリアムスカンタベリ大主教(英国国教会)の詩に作曲したハフ先生の作品《アドヴェント・カレンダー》が、同大聖堂聖歌隊の演奏で、オコナー枢機卿とウェストミンスター大司教の臨席のもと、演奏されたそうです。しっかりエキュメニズムしていますね。基督教徒としては素直に尊敬のまなざしです。どんな曲か聴いてみたいものです。

■あと、音楽関連の話題としては、1月8日に「倫敦楽壇騒然」のシモン・トルプチェスキ氏を聴きに武蔵野市民文化会館に行ったことでしょうか。いかにも主知的そうなみぶりの、イギリス人が好きそうな演奏ではありました。軽すぎて速すぎてなにをひいているのかわからなくなってしまうところもいろいろあるのですが(だからドビュッシーの《運動》はかなり惜しかった)、きめるところでリズムをばっちりきめてばりばり轟音を響かせるのが得意技のようにもみえ、古典より近現代ものが似合いそうな気もします。アンコールでひいた出身地マケドニアの作曲家の血湧き肉躍る民族舞曲に取材した作品がいちばん爽快でよかった(バルカンブラスカモーン)。あれが聴けなかったら「なんだとう、ウィグモアホールがびっくりだとう」とぶつぶついいながら家に帰ったことでしょう。ちなみに、トルプチェスキ氏は、なんとなく、三島由紀夫を彷彿とさせる風姿でした。長いお顔にクルーカットだったからでしょうか。
月末には彩の國さいたま芸術劇場で、最近話題のゼヴェリーン・フォン・エッカードシュタイン氏の演奏会もあるようですが、さすがにいまは自粛します。また聴く機会もあるでしょう。

■でもって、ジュリアード筋のおさそいでFriendsterというメリケン國のSNSサイトに入ってみましたが、ひどく動作が重いので、入ったっきりそのままになっています。自由と笑顔の大地、アメリカー、ぱっかーん!という感じが印象的ではあるのですが。

■映画「ゲルマニウムの夜」公開中とのこと、テーマがテーマだし、仕事柄見ておかなくちゃいけないかなあ、と思うのですが、原作の破廉恥な暴力描写をよんでげっそりしてしまったのを思い出したし、いまは自粛します。春になってからナルニア国物語とまとめて見ると、なにか変な文章が書けそうかもしれません。

■はらぺこあおむしとしては、ブリティッシュ・ライブラリー(http://www.bl.uk)の論文スキャン取り寄せサービス様々です。光ファイバーひいててよかった。というわけで、またしばらく地下にもぐります。

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14. Dezember 05

マーク・ハンブルク先生大爆演大会。

■マーク・ハンブルク(Mark Hambourg)せんせいの往年のリスト・ハンガリー狂詩曲爆演大会の録音を聴いて溜飲をさげる。
Mark Hambourg; Liszt-The Hungarian Rhapsody recordings/Concerto pathetique(APR 7040)
ブリュートナーのゆたかでつややかな音色のする楽器から、洞窟の奥にきこえるようなツィンバロンのかそけき響きを粒のそろったレガートでつむぎだすかとおもえば、ここぞとばかりにはずむようなリズム感であの底鳴りするようなごりごりした爆音を響かせたりもする。その対比は確信犯的、実に豪快で格好いい。腹の底からの笑いを誘う。
ハンブルクせんせい、1930年代の倫敦で、その名もSavage Clubという社交場に集まって、ベンノ・モイセイヴィッチ先生と一緒にブリッジをやったり、爆演を披露していたりしたらしい。Savage Clubでnoble savageな演奏をしていたわけである。ご令嬢のミハルさんとの連弾も男気むんむんで底抜けに明るい。世の、父の娘だなんだ言っているひとたちよ、青ざめていないでこれを聴け、といいたい。第6番の音の厚みは、連弾なのかもしれないと想像させるところがある。

■ロナルド・スティーヴンソン氏の75歳記念CDも聴く。
The Transcendental Tradition: Ronald Stevenson in concert, Vancouver, 21 April 1976(APR 5630)
なにしろエゲレシのピアノの世界の「超絶の伝統」(ピーター・ピアーズせんせい提唱)である。ジャケット写真の、若い頃のスティーヴンソン氏は、実にスティーヴン・ハフせんせいにそっくり。眼光の鋭さまでそっくり。ハフせんせいも、歳を取るといまのスティーヴンソン氏のように、すっきりと枯れたブリテン島北方系老人になるのだろうか。

■とんちんかんな批評とか、なんだかもう、あんまりいろいろあって、笑い飛ばさないとやっていけない。もつべきものは仕事と、一緒に笑える友と家族だ。

■なんだか4月上旬にエゲレシに行くことになったようだ。まずは目の前の書き物をがんばろう。

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05. Dezember 05

詩と思想新人賞/ショパンコンクール1次予選CD、ケイト・ブッシュ、などなど。

■けふ冊子にのせた「厨」が、「詩と思想」新人賞の1次選考を通ったそうです。最終選考には残りましたが、入選は逃しました。推薦してくださった川中子義勝先生から選評のコピーをいただきました。「鋭い感性が光る」と、新川和江さんがひとことコメントくださっています。

■ひさびさにタワーレコードに行きました。

ショパンコンクールCD:1次予選-1(DUX)
ああ、この記事英文で書いたほうがいいんだろうなあ。
もちろんお目当ては「我々のれふちゃん」ことドミトリー・レフコヴィッチ氏のひく《タランテラ》(トラック14)。

躍動する古典的均整美。あの曲、バリッとかっこよく弾くのはかなりたいへんなことだと思う。なんとなくハフせんせいにも通じるところがあると思うのだけれど、もっと向日性。ひのひかりにそよぐけやきのきとか、ヘレニズム彫刻をみてほれぼれするようなものだろうか。素敵。《タランテラ》だけといわず、れふちゃんの演奏、いろいろもっと聴きたいのだけれど…

ブラームス/クラリネットソナタ、クラリネットトリオ
ローラン・ペンティネンpf、マーティン・フレストcl、トールレイフ・テデーンvc(BIS)
堀内恵理子女史大推薦のマーティン・フレスト氏。BISのサイトと、オフィシャルサイトでご尊顔を拝見したところ、これがまた見事な北欧美男子。吹いて踊れて演じられるクラリネット奏者。とてもあのユーモラスな楽器とはおもえない、みずみずしい音楽。そしてみごとな役者ぶり。
踊りと演技もぜひ一度拝見したい…

J.S.バッハ/ブランデンブルク協奏曲(全曲)
リナルド・アレッサンドリーニ指揮コンチェルト・イタリアーノ(Naive)

《ブランデンブルク》となれば、ついコレクションにくわえたくなる。アレッサンドリーニとコンチェルト・イタリアーノ、だいすき。とても自然で有機的な演奏。すみやかな透明感もたっぷり。過剰な表情づけがないのも好感度大。安心して聴けます。

ケイト・ブッシュ/Ariel
Vashti Bunyan/Lookaftering

もう、もう、問答無用に良い。純粋さと強さと天真爛漫な明るさと。歌詞にも近しいものを覚えます。

■高橋睦郎せんせいの『歌枕合』入手しました。和物の歌が冴えます。さすがです。「極私的歌枕あそび」やってみたいかも。そういう、クリエイティヴな気分をよびおこします。キエフとかクリーヴランドとかニューヨークとかブリストルとかオクスフォードとか倫敦とかセントアンドリュースとか香港とか高雄とか江古田とか。

■おそまきながら「モーストリー」のショパンコンクール特集記事みました。ドンドン兄弟のインタビューと写真が実に良い感じです。さんけいさんがんばってますね。

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23. November 05

ジェヴィツキくん/水牛な冬の旅。

■みなさんこんにちは。お休みいかがお過ごしでしょうか。

■夫がジェヴィツキくんを聴いてきました(東京オペラシティ)。ドンミンより10倍うまいし、伸びしろもある、なにより性格がよさそうなのがいい、と感心していました。なんであれで1次でおちるのか、と首をひねっていました。
やはりCDで受けた闊達なただいま成長中の印象は当たったようです。

■《冬の旅》コレクターなので、水牛レーベルの《冬の旅》のCDを思わず買いました。「日本語で歌うと、なんでこんなに暗いんだろう」のコピーにやられました。歌は、「早口オペラ」が昔懐かしい斎藤晴彦氏。ピアノは高橋悠治氏であります。水牛楽団回りのメンバーがよってたかって訳した歌詞を役者の歌で歌います。日本の演歌ちっくな土壌にドイツ・ロマン派の多情多感をよくまあ移し替えたものだ、と、おなかをよじりつつも感動を覚えます。小学校の音楽室の想い出に化けた《菩提樹》など、とくに爆笑ものです。時代はどこまでも暗い、旅人は辻音楽師とともに行方不明、と書く高橋悠治氏のポエムも独特の哀愁があって味わい深いものです。
さて、内容ですけれど、これはもう、笑いなしには聴けません。
ハルとユージの「冬の旅」宴会に招かれた気分が堪能できます。ハルの歌の語尾にもれなくついてくる、ぼわーんとしたメッサ・ディ・ヴォーチェが特徴です。ユージは基本的に淡々と弾いてるように見えますが、突如として革命歌風の歌になると、とくに《勇気》になるとやはり格別の冴えが加わります。《菩提樹》はわざとくずしているのかもしれません。そしてそして、最後の《辻音楽師》ともなれば、みんな酔いつぶれてしまっているでしょう。
コアな《冬の旅》ファンのためのコレクターズアイテムです。
ちなみに、はじめに聴く《冬の旅》なら、プレガルディエン&シュタイアー盤をぜひどうぞ。

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18. November 05

アムラン新譜(シューマン謝肉祭)、イサーリス&ハフ新譜(ブラームス)、など

こんにちは、なかにしけふこです。大感謝週間、終了しつつあります。
冬季限定チョコレート、Melty Kissの抹茶味おすすめします。苺味もなかなかです。スターバックスのクレーム・ブリュレラッテ、大人の味ですね。

さて、ハイペリオンに注文したCDがとどきました。

■アムラン大明神、シューマンをひく。
さてアムラン大明神のシューマンの新譜であります。パピヨン、幻想小曲集、謝肉祭が入っています。
巷のピアノファイルのみなさんにはなぜか超人的技巧ばかりが注目されがちな彼ですが、実は、知的なユーモアこそ、彼の真骨頂なのではないでしょうか。
この録音、面白いです。ほんとうに面白いです。こんな楽しいシューマン、聴いたことがない。シューマンのめろめろな夢想趣味からは距離を置いた、デタッチメントもばりばりに効いた知的ではつらつとしたアプローチ。冷笑的でないのもいいところです。風刺の効いた夢のもつれ、ダヴィッド連盟vsフィリスティンの行進を笑い飛ばしつつ実況中継風の謝肉祭の終曲!これを聴くだけでも、買う価値はあります。もちろんパガニーニ、爆演です。アムラン、頭良い!!!さっすがー!とおもわず唸らずには居られません。
さあ、世の中にはびこる饐えたにおいを放つ俗流ロマン主義を笑い飛ばそう。
ということは、この録音「僕のろまちっくシューマンとろめらい」や、「私のローベルトさま」を心のなかにおもちの人向きではないかもしれません。
(ロマチックシューマン、トロメライ←宮澤賢治『セロ弾きのゴーシュ』より。
ということはアムラン先生のひく《パガニーニ》に《インドの虎狩り》を思い出すかたもあるやもしれません…)

■ハフ&イサーリス両先生のブラームスチェロソナタ集
スティーヴン・ハフ先生といえば、もとジュリアードSQのロバート・マン先生とタッグを組んだブラームスのヴァイオリンソナタの録音も印象的でした。トレンチコートで荒野の風に吹かれる同志の俺たち、風の男のロマンが感じられてかっこよかったのであります(とりわけ3番すばらしい)。やはり今回のスティーヴン・イサーリス(イッサーリス)先生とタッグを組んだブラームスのチェロソナタ集もかなり素敵です。
アメリカーン北斎風の油彩画の波の絵がついたジャケット。なぜ北斎そのものではないのだろう?と思いつつ、まずは2番から聴きました。う、うまい。いや、もう、丁々発止です。臨場感もばっちりです。いぶし銀の気品の輝く、ハードボイルドな魅力も満載、わたくしの年代からすればおにいさまの魅力、と申し上げたいところでありますが、一般的にみれば、そこはやはりおじさまの魅力満開、ということになりましょう。
ということは、「ちょいモテなんとか」が男の色気だと思いたい人には向かない録音であろう、と断言できます。
ソロのときには、しばしばどうにも近寄りがたい、あまりに俊敏すぎるがゆえの孤高の風すら感じられるハフ先生の演奏ですが、合わせものになるととてもとても人間らしい、あたたかい血の脈動が感じられます。前に、「彼の室内楽の録音を聴くと、ああこの人も人間なのか、と安心する」と言っていた知り合いがいましたっけ。
この二人の演奏でラヴェルとか聴いてみたいものです。

ところでイサーリス先生、毎年来日されているそうなのですが、ぜひ、ハフ先生とのコンビでツアーなさらないでしょうか。お二人には北米とえうろっぱだけでなくてぜひ日本にもお越し願いたい。とてもとても聴きたいです。

ところでこのお二人、どことなくシャーロック・ホームズとワトソン博士を彷彿とさせるところがなくもないような…

まてつづき。

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14. November 05

東京シティフィルのパルジファル@日生劇場。

私はヴァーグナーがすきではありません。あの毒々しさにしても、《トリスタン》にしても《オランダ人》にしても話をきくだに虫酸が走ります。なのに、なぜか、《パルジファル》を見に行ってしまいました。(飯守泰次郎指揮、鈴木敬介演出、13日)

6,7年前に東京シティフィルを聴いたときに、まあ、なんてへたくそなオケだろう、と思ったのですが、このパルジファルは違いました。コンパクトなオケなりに、音楽はよかったとおもいました。ストーリーのもったいぶった荒唐無稽な空虚さを覆い隠してあまりある、観客の想像力をさまざまな方向に導いてやまない音楽がヴァーグナーなのだ、とよくわかりました。なるほどあの時代の芸術家が「ヴァーグナーとはなんぞや?」とみんなでこぞってバイロイトに詣でたりするわけだ。
かえって小さい空間ならではのシンプルな演出が効果的だったかもしれません。ホリゾント幕に、森やはなびらの拡大映像や閉ざされた聖域や、各場面を象徴する映像がうつります(3幕第1場のけやきの森の映像がうつくしい)。服装は大胆に象徴化された時代物風。パンフレットの飯守泰次郎氏の談話も秀逸。

異邦の美女(クンドリー:小山由美さん)よかったです。1幕では、なんでアラビアの女なのに、オンディーヌみたいな服をきて、土蜘蛛みたいにはいつくばっているんだろう、と思っていましたが、そのうちもう舞台は彼女のものに。呪われてなお強く清らかな女の多面性がくっきり歌だけでうきぼりになって見えます。立ち姿も声もかっこいい。幕ごとの変貌もみごとでした。

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05. November 05

ドミトリー・レフコヴィッチ氏をふりかえる。

□みなさまこんにちは。脳内亡命詩人(甘味好き)なかにしけふこです。目下輸出用作品各種鋭意製作中です。ときどきボートを漕ぐように舟歌練習しています。オンタリオ湖…

日本語がよめる世界のドミトリー・レフコヴィッチ(Dmitri Levkovich、以下、れふちゃん)ファンのみなさま、お待たせしました。いざ参りましょう。この話題、ほんとは英語でも書いた方がいいんだろうな。

□まず、われわれのれふちゃんのお父上、作曲家のAlexander Levkovich氏のウェブサイト。

http://www.geocities.com/alexlevkovich/main.html

センスのいいウェブサイトです。トロント在住のウクライナ系の作曲家で、かなりの実力者です。シルヴェストロフの弟子で、ヴェーベルン、リゲティ、シュニトケの影響をうけたひとです。ロジェストヴェンスキイやエッサ・ペッカ・サラステからの委嘱作品もあるそうです。
なにしろ、声楽曲の詩の選択のセンスが素敵。ナボコフ(←すきだすきだだいすきだ)とブロツキ(←かなりすきだ)の詩に作曲だなんて、ああ、もう、詩人としては、どきどきします。うれしくなります。そういえばCBCトロントの若手音楽家紹介番組のインタビュー・クリップでも、れふちゃん、「ロシアにはすばらしい文学的遺産がありますので、家ではロシア語を話しています」と答えていましたっけ。

…スキナ シジンヲ オシエテクダサイ

アレクサンダー氏の作品のクリップ、いくつか聴けます。美しいです。
向日性のECM系といった感じでしょうか。ギヤ・カンチェリやペーテリス・ヴァスクスやアルヴォ・ペルトの作品からお涙頂戴要素をぬきとり、アルフレッド・シュニトケのある種の作品を見通しよくしたような感じ、というのでしょうか。
この父にして、あのむすこあり、という印象をもちました。
ちなみに、プロフィルの頁のさいごのほうに、むすこさんのはなしもでてきます。

むすこさんのウェブサイトも出来ないだろうか。
我々はもっとれふちゃんを聴きたいです。そう、彼の作品も。
レトロスペクティヴだけではなくって前に進みたいのです。

□さて、そのれふちゃんでありますが、コンクール優等生弾きを好む向きの多い日本語のネット音楽日記上ではなんだかずいぶんな言われようです。
カナダのぱつきんやろう、雑とか、荒いとか、ひいてる顔がえろいとかお書きの人の観戦記、拝読いたしましたが、国内在住海外在住にかかわらず、こぞってみなさん、こじんまりとお行儀のよい、しかも型に嵌めた表現でピアノの力を矯めて勝ちにゆく、東洋系コンクール優等生弾きをお好みなのが興味深いです。なんだか日本のピアノの世界も、どこか日本の伝統芸能の世界みたいなところがあるような気がします。

東洋系コンクール優等生弾きが盆栽なら、れふちゃんはたのしげに枝をすいすいのばして歩く樹木でしょう。けやきかなにかの類ではないかしら。

詩はやはり歩く樹木でありたい(野村喜和夫氏もむかーしこんなことをおっしゃっていたような気がします)。れふちゃんの演奏については、もう、ひとことでずばり申し上げましょう。向日性の、詩的なピアノだったと思います。ボート漕ぎが趣味のものとしては、あのボートを漕ぐ身体そのものの《舟歌》には、深い共感を覚えました。
一月たっても、あれだけ強烈な印象がのこっています。なにより楽しそうに弾いているのが良い。
みずからの青春を葬るかのような2番ソナタ、あの苦悶の表情には胸をえぐられるようでした。CBCウェブサイトのミュージック・クリップで聴けるプロコフィエフの頭の回転の速い品の良い悪ガキ風の表情もなかなかです。やっぱりいろいろ聴いてみたいと思わせるものがあります。

コンクール本部のプレスリリースや、ポーTVの映像への現れ方も興味深かった。最初は「うわー予備予選から写真があるう、1次予選のときの写真がひとりで多い!たのしそうに弾いてるしどれもいい写真、ラヴリー!」とか言ってたのですが、よくよく考えると、あの苛酷な状況のなかで、あくまでも涼しげでにこやかなれふちゃんの存在感は、それだけで図幅をあかるくするようでした。出番をひかえた闘争的コンクール弾きのひょくちゃんと「さあ次がんばれよ」みたいな感じで握手してる写真とか、本選に進めないことがわかってしまったのに、えらいさんふうの人とさわやかに握手してるポーTVの2次予選結果発表映像とか。ふんわりとセミファイナリストのディプロマをもらってる写真とか。あれはまるで「コンクールの天使」ではないか。Gazeta編集部や、ポーTVの編集サイドのひそかな主張を感じます。このようなひとがいた、ということを、わたし(たち)は覚えておきたい、そう思わせる映像ばかりなのが、とても興味深いものがありました。存在そのものが詩のようです。はげしく、わたくしの心をゆさぶります。

一次予選の演奏後に、楽屋に押しかける女子のみなさんにも晴れ晴れとにこやかにサインをしている数葉も印象的でした。私もパデレフスキ版の舟歌の楽譜にぜひ一筆お願いしたいものです。

読者諸兄姉のなかに、彼の演奏情報をご存じのかたありましたら、ぜひこちらまでご一報ください。
だれかれふちゃんをしらないか。

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04. November 05

ドンミン、冬ソナを弾く@よこはま

□こんばんは。なかにしけふこです。みなさん週末いかがお過ごしでしょうか。
ヴァージニア・ウルフの『オーランドー』(←すきだすきだだいすきだ)、そして、ドミトリー・レフコヴィッチ氏で検索してくださったアナタ、いい人です。
レフコヴィッチ氏にかんするアーティクル、鋭意作成中です。のちほど掲載します。おたのしみに。

□さて、夫が出張の帰りにみなとみらいの横浜市招待ピアノ演奏会に出かけて、ドンミンを聴いてきました。曲はショパンの協奏曲第1番です。

私「どうだった?」
夫「ドンミン、舞台にでてきたとたんに華がない…股間おさえておじぎしてたよ…しかも音楽にイマジネーションがない…あれがなぜ三位なのか世界の七不思議…」。
私「ヴンダーやレフコヴィッチを出せー!!!!!といいたくならなかった?」
夫「うんもちろん!!アンコール何弾いたと思う?」
私「何?」
「『冬ソナ』の《初めて》…」
「なにーーーー!?《初めて》ーーー!?」
夫「楽譜みながらひいてたよ…さすがにああいうのはうまいんだね…でも誰も笑わないの。笑いをかみころすのに苦労したよ…」
私「えーーーー!!!じゃ、ドンミン、ショパコン3位のポップスター?」
夫「後半はかなり原曲から離れて盛り上がる編曲だったものね…我々の予想する方向に世界が進んでく…おそろしい…」

あの、チュンサンとユジンの放送室デートがこれでもかと甘酸っぱくこそばゆく描かれる場面で、あの「よんさま」がなんだかこそばゆそうに弾く《初めて》を、「よんさま」ならぬ努力家の長男「どんさま」がアンコールで弾いても、会場はどよめくどころか、しーんとしていたそうです。おクラシックを聴きに行かれるようなかたは、《冬ソナ》をごらんあそばされないのでしょうか。
なお、けふもじで綴る《冬ソナ》記事は、このサイトの昨年の12月頃のアーカイヴをごそごそさぐると、出てきます。よろしければお立ち寄りくだされ。

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01. November 05

ぶんだー氏雪辱戦?/えんばさーだ・で・めひこ朗読会、など。

□こんにちは。みなさまのたのしい脳内亡命詩人・悲観的楽観主義者なかけふです。「苑生」は残部保存分だけになりました。2月末までほんとうに動けませんので、増刷はしません。

□我らが無冠の覇者、インゴルフ・ヴンダー君のウェブサイト見ました。11日にクラコフでショパンの1番を弾くようです。指揮は「酔っぱらい先生」こと、巨匠、イェジー・マクシミウク氏。ああ激しく聴きたいです。そのほか、Wintertur、ワルシャワなどでもリサイタルあり。夜のギャスパール弾くようです。こちらも激しく聴きたいです。

□でもって「夜のガスパールとリーザ」ただいま妄想中。あのおフランスうさぎぬいぐるみの兄妹(ガスパールとリーザ)がラヴェルの音楽とともに夜を旅します。そこにシュティフターのエッセンスなどもふりかけて。あの、おそろしく素早いスカルボくんに驚くガスパールにリーザが「そうよ、おにいちゃん!」おおう

□朗読会。メキシコの詩人たちの詩は、やはり、詩に敬意が払われている土地柄ならではの堂々たる品格をもつものでした。スペイン語の陰翳のコントラストの深い、乾いた響きはたしかに神を語るのに向いているのではないかという印象ももちました(脳内にアビラのテレサ、フランシスコ・ザビエル、十字架の聖ヨハネ)。なんにもない部屋の空虚がこわい、それをうめつくしたくなる、というルイージ・アマラ氏の簡素な詩、蹴球場の心をざわめくことばでうたったアントニオ・デルトロ氏の詩が印象的でした。
日本側の出場者では、やっぱり白石かずこ女史が別格の貫禄勝ち!巻物を手に持ってするする広げながら、おかあさんおばあちゃん大地の女神の昔語りのように、悠々と語ります。なつかしくもあり、心もでっかくなりますね。真実を貫いて闘ってきた者だけのもつ余裕と輝きがありました。かずこちゃまラヴ。

ちなみに、巷で話題の「方法詩」のユニットも出てました。123の数字をランダムに並べて、「誰にでも、どんな言語のつかい手にも出来る呪術性の強い詩」をつくる、アレです。合唱の人には、東京混声合唱団で初演された鶴見幸代女史の《縞々》でもおなじみでしょう。今回は、さかいれいしう女史が松井茂氏の作品に音程を付けて「123321」と歌っていました。かなーり60年代風味でした。もちろんスペイン語版もあり、うのどすとれす言ってました。うのうの、うのうの、ドスドス、ドスドス言ってたらかなり日本語としては笑えると思うのですが、笑いという快楽と言語のエロスを追求しないのが「方法主義」のお約束みたいなので、誰も笑いませんでした。最後に「ウノ!」と来ました。修学旅行サークル合宿卒業旅行の友の、某カードゲームを思い出したことはいうまでもありません!!でも、お約束を知っているので、誰も笑いません。ウノ!ウノウノ!ああ某カードゲームしたくなってきた…。

そういえば、「方法ばばぬき」もあったけれど、せっかく遊ぶのにつまらなさそうな態度でこれはつまらないことだと思いながらやらなくてはいけないのは、自分にはむかないな…スノビッシュなのはもっといやだけどサ。

□歌人のKさんに「なかにしけふこはもっと世界を呪っている人だと思っていた」と言われました。ふーん。ほおおん。そうみえるんだああ。へえええん。

□めひかーなの皆さんに毛富文字を推進してきました。「えねるぎーがあるね!」「これは君の胸の鼓動だよ!」うれしいぞ!かっこいい!

□読者諸姉から「けふこよ語れ、レフコヴィッチを」とリクエストいただきました。すくなくともいくつか切り口はあるのですが、某ポーランドTVやコンクール本部プレスの報道映像に、要所要所でまるで「コンクールの天使」のようににこやかに登場するれふちゃんには、おおいに詩魂をかきたてられます。私が語らないで誰が語る。ただいま構想中です(喜)

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30. Oktober 05

10/24-30 ピアニスト名検索数ランキング。

10/24-30(敬称略)
山本貴志 122  ラファウ・ブレハッチ 52  永野光太郎 7  イム・ドンヒョク 8
関本昌平 5    三浦友里枝 3
スティーヴン・ハフ、インゴルフ・ヴンダー、ドミトリー・レフコヴィッチ 各2
★先週に比べるとフィーバーも一段落したようですが、あいかわらず山本君圧倒的な人気です。
スティーヴン・ハフ先生、インゴルフ・ヴンダー氏、ドミトリー・レフコヴィッチ氏、そして三浦友里枝さんでこのサイトを検索してくださったアナタ、いい人です。(涙)

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29. Oktober 05

火刑台上のジャンヌ・ダルクチョコレート、砕氷船の舟歌、大人の音楽の友・白石かずこ自伝。

□こんにちは。みなさんワルシャワ時間生活からは復帰されましたでしょうか。私は時々、まだ朝の2時半に目が覚めては、はっとします。

□夫がフランス土産にLes Larmes de Jeanne d'Arc(ジャンヌ・ダルクの涙)というチョコレートをもらってきました。ルーアンのAuzouというチョコレート屋さんの製品で、チョコレートがけアーモンドの類です。かりっと炒って糖衣をかけたアーモンドに、ふかふかのスウィート・チョコレートの衣。もちろんココアパウダーはふんだんにふりかけてあります。白地に青文字のパッケージには火刑台上のジャンヌ・ダルクのイラストレーションと、故事来歴が。聖女の涙を食するというしつらえとは、さすがおふらんす、不謹慎にもおいしくいただきました。ごちそうさまでした。ちなみにわたくし、ジャンヌ・ダルクもの映画では、古典的な《裁かるるジャンヌ》もよいですが、だんぜん、ジャック・リヴェット監督の《ジャンヌ》二部作がすきです。

□ふと耳の奥にDmitri Levkovich氏のひく、オールの水さばきも鮮やかな、オンタリオ湖に注ぐドニエプル河の《舟歌》がなつかしくよみがえるのでした。そこで《舟歌》の楽譜買いました。いえ、ウチには夫の仕事柄、いろいろなのがあるのですけれど(中古楽譜屋で買ってきたどこかの音大生のレッスン譜らしきものまであります)、新しく譜読みするなら自分のがほしいなあと思ったのです。ナショナルエディションは結構なお値段するので、パデレフスキ版です(といったら、「ナショナル・エディションうちにあるよ」と夫が言っています)。ああしばらく砕氷船みたいな譜読みです。

□メキシコ大使館の朗読会に招ばれたので、その予習で白石かずこ女史の自伝『黒い羊の物語』(人文書院)をよみました。女性が性や欲望を詩に書くことが抑圧されていた時代に、「男根詩人」「性詩人」と非難されながらも、ロックスターのように勇敢に大らかに女性の生命力や性愛を詩に綴ってきた先駆者で、75歳になんなんとするいまもなお、「詩のロックスター」として旺盛に活動しておられます。フリー・ジャズと朗読のセッションの名手で、世界の詩人たちとも積極的に交流しておられます。実は、白石女史の朗読を聴くのは今回がはじめてなので、非常に楽しみなのでした。
『黒い羊の物語』、圧倒されました。いや、やはり、早熟な詩人の、壮絶で力強い人生です。かつて白石女史が翻訳した、女性の愛と生命力を力強くうたうアメリカのレズビアン・フェミニスト詩人、Adrienne Rich女史の作品も、リッチ節にしてかずこ節な雄渾なる訳文も切々と思い出されました。物語のあった時代はいいなあ、と素直に思いました。もっとも、昨今の風潮としては、女性の詩と言えば性愛のグロテスクやフラート至上主義、のようなところがなきにしもあらず、そのような風潮を女史がどう考えておられるのか、そのあたり、とても興味があります。身のうちからあふれる生命力や愛を詠んでいるのだから、「男根詩人」「性詩人」といわれても本望だ、と言い切った女史ですもの。

□そこで、「大人の音楽の友」でございます。女性の豊かな生命力あふれる「女陰ピアニスト」といえば、やはり、アルゼンチン出身の、最近は室内楽を主になさっている、あの方でありましょう。往年の《クライスレリアーナ》素敵でした。男性の生命力にみちみちる「男根ピアニスト」といえば、やはり、アルトゥール・ルビンシュタイン先生をおいてはほかにいないでしょう。彼の弾く《英雄ポロネーズ》は圧巻です。あんな優雅なマッチョは不世出です。

□「大人の音楽の友」シリーズと、「乙女と乙女の心を知る男子のための西洋古典音楽鑑賞」シリーズ、これからときどき配信します。「乙女…」では、サンソン・フランソワ先生の演奏映像DVDのボーナス・クリップに入っている、ベンノ・モイセイヴィッチ先生のバリッとしたタンホイザー序曲の話なども、いずれいたしましょう。背筋もまっすぐにバリバリ弾き終えて、「それではみなさんおやすみなさい」カメラにむかってにこり。ああ。モイセイヴィッチ先生、かっこいい。素敵。
はっ。これでは「かっこいい列伝」ではないか。

□念願の西脇順三郎全集(新版)がきました。ムフフフ。もっとも、あけてしまうと詩ばっかりよんで勉強しないので、春になるまでしばらく封印しておかなければ。
□それではみなさまよい週末を。朗読会のはなしはまた書きます。

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25. Oktober 05

Gazeta最終号。

■英雄ブレハッチ君のためのページェントになってしまったショパンコンクールの話は、もう打ち止めにしようかと思いましたが、やはりコレをみてしまっては、戦闘意欲もかきたてられてしまうではないですか。そうです。Gazeta最終号です。

表紙には笑顔のブレハッチ。「クリスチャン・珍満満ツィメルマン」を尊敬します」と語っています。
「ポルスカ」のタオルマフラーを掲げてブレハッチの優勝を喜ぶ音楽学生たちの写真もあります。
あのドンドン兄弟をはじめとする東洋の入賞者たちや、批評家賞に入った辻井伸行君の話題なんてひとっこともありません。なにしろ、その他副賞各賞は辻井君以外みんなポーランド人に与えられていました。ポーランド人もってけ座布団状態です。
放送にGazetaに大活躍のヤン・ポピス先生、ポーランドのピアノ演奏を口をきわめて大絶賛です。もう、全面的にブレハッチ優勝祝賀ムード、大政翼賛状態です。ポーランドの国情を考えると、とくに、偉大な世界的精神的指導者JPII亡き後の国情を考えると、これもいたしかたないのかなあ、とは思いますが、ついにしっぽをだしたな、という印象です。やっぱりローカルコンクールだったんじゃん。

もっとも、テレビ解説に出演のAdam Rozlach先生など、三人の識者のコメントでは「あれは徹頭徹尾ブレハッチのためのコンクールだ。東洋人の入賞は、ショパンの音楽のグローバリゼーションにもつながる。何人かの興味深いコンテスタントが本選で進む過程で落とされて、緊張も深まった。審査の過程を考えると、犯罪的だとしかいいようがない」とありました。メディアの批判力が健康に働いているなあ、とも思います。
ポーランド人を優遇しまくり、「イギリス人にもフランス人にもイタリア人にもロシヤ人にもアメリカ人にもカナダ人にもフィンランド人にもショパンはひけねえ」とばかりに欧米人のコンテスタントを落としまくり(ああ、二次で討ち死にの無冠の覇者たち!)、はるばるやってきた東洋のお客さんには、真の音楽家(チャン・シャオインさん良かったなあ)ではなくて、「自分も努力すればあの程度にはなれる」という期待を一般の学習者に抱かせる程度の人に賞を与える、というのでは、誰も受けなくなるのではないでしょうか。
そういえば黒人のコンテスタントいなかったなあ。

なお、ポーランドでは強力な保守主義の「法と正義」党が政権第一党になったそうです。

5年後のショパンコンクールはますますジェヴィツキvsコルトゥス一騎打ち、といったところでしょうか。

さまざまな政治的かけひきやページェントも結構ですが、なにより、真摯に音楽にとりくむ若者や、刺激をうけて互いに成長したいほかの分野の芸術家や、とりわけ、真善美を求めてやまない聴衆の立場になって考えてほしいものです。

■前回の浜コンのあとの「ショパン」誌に掲載された記事を発見。
ポーランドの新星、ラファウ・ブレハッチを訪ねて
http://polja.hypermart.net/2003-1/04rafal.html
ハッチ先生、四歳からオルガンを習い、地元の教会でも奏楽を担当しているそうです(このサイトでは聖職者が「牧師」として書かれていますが、「神父」ではないの?)。彼がどんなオルガンを弾くのか、聴いてみたいです。こちらのインタビューに出ているブレハッチ君の師匠も、「彼の手はショパンの手に似ている」と仰せです。驚きました。みなさんやはりそうお思いになるのですね。
次回の来日ツアーのときには、ぜひぜひカトリック中央協議会や、ポーランドにゆかりのある修道会の働きかけで、ブレハッチ君によるどこかの教会でのミサの奏楽とチャーチ・コンサートを、大いに検討していただきたいものです。私も喜んで参列します。妙にエキゾチックな《典礼聖歌》は日本人よりガイジンに受けがいいように思います。彼にも興味深いのではないでしょうか。

■我が家ではその後、無冠の覇者たちのキャッチ・コピーを妄想しています。たとえば「ディアスポラのピアノ王子」。無垢と気品とさわやかで優雅な知性を愛する史学系女子の乙女心は、大いにかきたてられます。もう誰のことかは、こちらの愛読者のかたならおわかりですね。以下4000字略。
巷で話題の「やまさま・ゆんさま・よんさま」には、ちっともそそられません。

■イム・ドンヒョクとドンミンの「ドンドン兄弟入賞オメデトウ百面相コンサート」、ぜひ実現してほしいものです。ラフマニノフやモーツァルトを恐ろしく攻撃的に二台ピアノで演奏する二人の音楽と正面のスクリーンに映るドンドン兄弟の百面相のギャップに笑いをこらえるお客さんの腹筋が90分間よじれます。これほどにダイエット効果のあるコンサートはほかにないでしょう。もちろん会場のバーにはアミノ酸飲料も用意して、ダイエット効果を高めましょう。EMIさんカジモトさん、ぜひ企画してください。

■某ゴスゴスサイトにまた抜かれている…。くそうくそう(以下400字略)

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22. Oktober 05

さて、これから。

■文化祭のあとのさみしさのようなものが漂います。わが母校ふうにいえば「さあ、後夜祭もおわった、近所の大学のキャンパスから借りてきて「植樹祭」でグラウンドに植えた杉の木をもとにもどして、これからベンキョーだ」といったような感じでしょうか。新しい日々の生活がはじまります。若者たちから正のエネルギーをもらったのですもの、生かさない手はありません。

■「ネットでショパンコンクールの中継が見られるよ」とよばれて見に行ったiTVP.plの中継画像に映っていたのが、たまたまレフコヴィッチ氏だったのが、そもそものはじまりでした。コンクールなのに、なんだかたのしそうにピアノを弾いているきれいな青年がいる…とかるいおどろきをうけて、かきはじめたショパンコンクールの観戦記でありましたが、こんなに読まれるとは正直、思ってもみませんでした。ふだんはせいぜい一日40ヒットの、静かな辺境のサイトでした。本選に入ってからは普段の10倍、一番おどろいているのは、わたくし自身です。これからもどうぞよしなに。
いずれ、観戦記は後日談もふくめて冊子にしようと計画しています。あ、このサイトをごらんになって、なかにしけふこの書き物に関心をもたれたかたは、今発売中の詩誌『るしおる』58号(書肆山田)掲載の作品もぜひごらんください。ネットでも買えます。

■審査結果発表後のスタジオ中継に、よよと泣くおばちゃんからの電話。いつもクールなコワモテ音楽評論家ヤン・ポピス氏もらい泣き。某巨大掲示板界隈で「訳神様」とよばれていたポーランド語のできる人の談話(かき込み)では、「このおばちゃんは一視聴者であって、ポーランドに新しい若き文化的英雄が現れたことに感動して泣いている。〈ラファウ・ブレハッチ君をパパ様(=さきの教皇ヨハネ・パウロ二世)にかわる新しいポーランドのヒーローに〉という田舎のおじちゃんおばちゃんの期待が高まりそうな予感がある」とのことでした。それが事実だとすれば、いかにもありそうなはなしで、宗教学人間としては思わずどきどきわくわくものの話題でありますが、いかんせん、ポーランド語がわからない。ことばがわかればことの真相がよりはっきりするのですけれども…くやしいなあ
放送を徹頭徹尾ポーランド語で通すことで、世界の音楽愛好家にポーランド語熱を高めようとする文化戦略も、実に巧みだと思いました。


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そして結果。

■生中継見ています。うわースタジオにヴンダー君との電話がかかってる。テレビ局がかけたのだろう。英語で喋ってる。ポー語の同時通訳がじゃま。ショパンコンクールをどう思いますか?ときかれて、すばらしいコンクールだと思います、僕には演奏活動が重要ですが、また次回も挑戦します、と言っている。そこで10-2のクリップ。すごい!!!!!優雅な超絶技巧。やっぱり西洋はにわなのに、最後で口を閉じて、にやっとしながら弾いている。「この世に存在しないものを見てしまった」と夫が絶句する。「なんでコイツが本選にのこらなかったんだ????これだけでも本選にのこる価値があるのに?」「なんでこの人2次で落とすの????」夫と二人で驚愕。

■ポーランド学習熱が高まりそうな我が家。

■へーんな順位ー!!
待って待ってやっと出てきました。(日本時間7時50分)
1 ブレハッチ
2 なし
3 イム兄弟
4 関本山本
5 なし
6 かーりんこりんりー

もちろん、ポロネーズ賞、マズルカ賞、コンチェルト賞もブレハッチ。
ブレハッチには納得ですとも。
よくぞ気品を保って闘った。
でもう。
そのほかですが、なにこれーへんすぎるー
なにイム兄弟…
弟はまだしも、兄はなっとくいかん。
もっとうまい人たくさんいたじゃん。
弟にしても、あの傲慢ピアノがそんなにいいとは思えない。
茶番ではないか。
山本君と関本君がなんで同率4位なんだろう。
山本君もっと上に行けたはず。
「なんなんだよう」と夫が悶絶しています。

あと、なんどみても、欧米人少なすぎると思います。
2次で落としすぎだってば。
欧米の音楽学校では、いまや、学生のかなりの割合を東洋人が占めているとはききますが。

■ああ、朝ご飯たべよ。お疲れ様でした。
(つづく)

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21. Oktober 05

おうちでショパンコンクール観戦記:本選(4)

■泣いても笑っても今晩で終わりですショパンコンクール。長かったし、どうも変だと思うこともいろいろありましたし、2次予選が終わった段階で、もう見るのをやめようとさえ思いましたけれど、すぐれた若い音楽家たちの演奏との出会いは、とても幸せな体験でした。

■魂振り系のものを聴き続けるのも辛いので、魂鎮め系のCDをいくつかとりだして聴きました。
《ヒトラー最期の一二日間》で入魂の怪演でヒトラーを演じていたブルーノ・ガンツがヘルダーリンの作品を朗読するCD(1984年、ECM)。ヘルダーリンはドイツ・ロマン主義の詩人で、晩年は発狂して塔に幽閉されてくらしたひと。その詩語の響きはドイツ人にとってはとくべつなのだそうです。翻訳で読むと青ざめて見える詩なのですが、やはりドイツ語の原詩の威力は凄い。かみさびたことばの、たぐいない音楽的な響きがします。しーん、と静寂のなかに空気が澄んでゆく。いかにもECMっぽいコンクリ打ちっ放しのところで打楽器を叩いたりするようなアバンギャルドな効果音が鳴ったりするのはご愛嬌。
それでもって、やっぱりヒルデガルド・フォン・ビンゲンの《オルドー・ウィルトゥートゥム》でしょう。ああヒルデガルド好きだ。とても好き。そんなことを言っているから、「巫女さん的イマジネーション」とか言われてしまうのだ自分。

■家の楽譜庫からショパンの《タランテラ》やら、プロコフィエフのエテュード(←自分、いくらレパートリー追っかけでも1番は無理)の楽譜をさがしだしてごそごそ。

■けれど、とても眠いのはたしか。それではまたのちほど

■結局起き出してくる。日頃は自分にとってはtoo muchなはずのショパンにすっかり耐性がついていることに驚く。おおうヤロシンスキーが映っている。19歳か…ポーランド勢以外の唯一の欧米系ファイナリスト、彼の肩にかかった期待の重さのようなものは想像ができるけれど、なぜ、あの人でもあの人でもあの人でもなくて、このひとなのだろう。音はとてもきれいなのに、弾き慣れているらしい曲がときとしてよれよれになってくる。なんだか気の毒だ。いたたまれなくなって、ブラウザーを閉じる。

■懲りずにどんみんをみる。あれ?なんでドンミンのほうが先なの?どうして?ブレハッチじゃないの?
拍手もオケもなんだかやるきなさげ。おおうドンミンごんごん弾いている。傲慢おにいちゃんのドンヒョクよりものんびりとした感じはあって、やなやつっぽくないのではあるけれど、演奏が本質的にとつとつとしている。後ろで夫が「こいつはこのコンチェルトをオケと合わせるのはじめてなんじゃないか?隙がおおいなあ」と笑っていたのだが、「だめだこいつ、へんなところでゆっくりするんだもん。アントニー・ヴィットが思わずまじまじ見てたよ」と困惑気味である。
しっかし、なんでドンミン、こいつが…男のひとを魅力的にする、あの甘やかで無垢な表情の移ろいとか、はずむような機智のようなものをこのひとのショパンに期待するのはおかどちがいなのだろうか。いまさらながらドミトリー君なつかしい。鬼火してたはみにけりなsarcasm, CBCトロントのサイトへゆかな(←レフコヴィッチ氏、プロコフィエフのエテュードをひいている)、という気分になる。まったくタイプはちがうけれど、山本君の雄弁な表現もおもいだされてくる。
■しかし、だんだんこいつも百面相になってきた。ぜひ兄弟で百面相対決をやってほしいものだ。
教会関係の知り合いに、ドンミンによく似た容貌でピアノを弾く、代々の信徒の家系の男がいるのだが、ドンミンの百面相をみるうちに、なぜかその男が思い出されてきてしかたがない。まじめで責任感の強い努力家の長男。嗚呼。
■拍手のタイミングはさっきより早いぞ?一応ブラボーらしきものとんでいる。

■ブレハッチ登場。客席になぜか日本人がいっぱいいる。オケの気合いがぜんぜん違う。
最初を聴いただけでも、もう、ぜんぜん品格が違う。とても知的で優雅で勇敢。これぞショパン、と溜飲を下げる。山本君よりも彼の演奏のほうが個人的にはだんぜん好みである。やっぱり男子はかわいげと品格と知性なのである。「さいごにコンチェルトのおてほんはこんなふうにひきます、というひとを出したような感じだねえ。とても技のあるひとだけれど、それを絶対みせないのもすごい」と後ろで夫が言っている。カメラワークも機嫌がいいみたいで、通路の前後を脈絡もなくいったりきたりのショットが入ったりする。第1楽章の展開部に息をのむ。左手の表情がすばらしい。リズム感覚もばっちり、装飾音がとても明晰にきこえる。右手のノン・レガートの表情がなんとはなしに古楽奏法ふうでもある。第2楽章、もう、なにも言うことはない。彼のひく星空のような音楽に、オケも反応して、とても玄妙な響きがする。第3楽章、いいぞいいぞ。ゴーゴーラファウ。「ほとんどペダル使ってないねえ。使ってもハーフペダルかそれ以下くらいかなあ。そしてこの左手の粒だちのよさ。コントラストのみごとさ。古楽を知ってるなあ。それと、クールなツィンマーマンというかんじだねえ。北米で育つとアムラン系だねえ」と夫が言っている。カメラワークがとても機嫌がよさそうだ。弾き終わった瞬間に大ブラボー。ぶらぼおおおおおおおおお!!!オケの人も大拍手。それでこそファイナリストだ。あーブレハッチ、カーテンコールでにっこり笑ったー。やっぱり二十歳の青年ではないか。かわいいー。もう、大ブラボーである。

■もう、ブレハッチと山本君だけに賞やるのでいいんじゃなあい??と言ったら、「いや、あの審査員のひとたちだから、わかんないなあ。古楽知らないだろうしなあ…」と夫。審査員席が映る。憮然とする審査員あり、拍手する審査員あり。

■これで演奏は全日程終了。おつかれさまでした。いろいろあったけれど、素敵な音楽をありがとう。詩を書くものとしても、特別な日々でした。音楽も詩も学問もひとをしあわせにするものであってほしいと強く思いました。刹那の感動でおわらせるのではなくって、やはり、これからの未来ある彼らを(たとえ目に見えるかたちにはならなくても)応援してゆくのが、聴衆のつとめでありましょう。

■それでは審査結果発表まで、しばしおやすみなさい。

追)某現地観戦日記の予想をみました。なんで山本君いないんだろ。ちょうちんもち。
個人的には、「一着ブレハッチ、二着山本、ドンヒョク三着で辞退」を予想しますが、二次であんなことをやらかしてくれた審査員たちですから、なんだか全然違うものが出てきそうです。ピアノ弾きとしては、コルトゥス君よかったけれど…

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おうちでショパンコンクール観戦記:本選(3)

■渦中の人の2番から聴いています。
もう、今晩は聴かないで眠るつもりでしたけれど。
もう、くににお帰りになったであろう、誰とかさんや誰とかさんを出せ、とは、申しますまい。お召し物のことも申しますまい。
でもですよ。でもですよ。
な、なんか、これ、遅くないか。ねばっこくないか。←結果的には淡々と一様に弾いていましたけれど。刻苦勉励してさらっていらっしゃるのはよくわかります。細かい表情の変化に気を配っておられるのもわかります。けれど、全体として、彼女がこの曲で訴えたいものが、わたしにはさっぱり分からないのです。努力して努力して難所を克服してきたピアノだ、とわかるだけに…
おじょうさんには気の毒な言い方かもしれないけれど、新宿副都心のシティホテルのラウンジあたりでヴォリュームを絞ってかかってそうなショパンという感じもします。あの全体として表情のない第2楽章を聴いていると、ふいにセンチュリー・ハイアットあたりのケーキラウンジが脈絡もなく思い出されます。あそこのケーキは悪くないだけに、なんとも微妙な心地です。
船酔いしてきました。ああそうかわかった表情のつけかたがどこでも一緒なんだ。だからなのだ。合わせるだけでいっぱいいっぱいなのでこうなるのだ、と後ろで夫が申しております。なんで彼女が本選に?という疑問はぬぐえませんでした。云いたかないけど、やっぱりさああ、ほかに出るべき人たちがいたと思うんですけれど。芸術には努力だけではどうしようもないものがあると思います。この曲、刻苦勉励しても合わせるところまでいかなかった経験をしたしろうとピアノ弾きとしては、やっぱりいいものを見たいのです。
あーあお金払って聴きに行ってこんなのきかされたら、帰りにやけ酒しそうです。学生時代のオケがよいを思い出します。
ともあれ、おじょうさんおつかれさまでした。

■画面にヤン・ポピス氏登場。なんか不機嫌そうに語っておられます。

■もう眠ろうかと思いましたが、こちらにお越しになる山本ファンのみなさんに悪いし、もうちょっと起きていましょう。

■おおう山本貴志君でてきました(1番)。良い演奏きかせてくれー。(涙)
オケの音色、というか気合いがさっきとまったく違います。山本君キャラ立ってます。日本男児の感傷とさわやかな気っ風を聴かせてくれます。この、ほかのひとにはない、なにかを聴かせてくれること、それがいいのです。音もきれいだしバランス感覚もいいし。あー胸がすくようだ。彼は今日はあまりポストモダン風味ではありません。これは地で弾いているねえ、と夫が後ろで申しております。ゴーゴーたかし!!あれ?タイとれた?
山本選手、タイをはずして(というか、ジャケットに隠して)第2楽章にはいりました。いいなあ。これですよこれ。いいショパンです。涙出そう。甘やかで濃密な表情が効いています。日本男児もよよと恋に泣くのです。第3楽章、いいぞいいぞ。軽快で、しかも堂々としていて。1日目のコルトゥス君とはまたちがう味わいの、時分の花です。ショパンの音楽にあるものを、とてもよくわかっていて、共感をもって、しかも誠実に向き合っている。しかもたのしそうに弾いている。このひとは文句なしに本選に出るべき人だとおもいました。
おおおおーぶらぼー!!!オーケストラが終わる前からぶらぼーです!!会場がうつりました。スタンディングオベーション出ています。山本君ありがとう。よくやった。よくぞかの死屍累々の勇者たち、ことに、ヴンダーとレフコヴィッチ(あるいはここに、読者のみなさまご贔屓の、本選に進めなかったコンテスタントのなまえをここにいれてよんでください)の仇をとってくれた。日本人として、音楽好きとして、とても誇りに思います。
ドンヒョクとは対照的な、おもしろいキャラクターです。ぜひ、ひょくちゃんと上位入賞を競ってください。凱旋リサイタルあったら聴きにいきましょう。
しかし、これで彼が3位以内に入らなかったら、大抗議ものではないでしょうか。そうとなったら、私も黙ってはおりませんことよ。もっとも、ワルシャワの本部に、ある問い合わせメールを準備中でしたけれど。

■ふたたびスタジオに切り替わりました。ヤン・ポピス氏とゲストのおじさま、とても上機嫌そうです。
これでマクラを高くして眠れます。おやすみなさい。

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20. Oktober 05

おうちでショパンコンクール観戦記:本選(3)まえのひととき

■みなさんこんにちは。おかげさまで、Google検索「はなかんむり」で、ゴスゴス球体関節美少年人形のサイトを抜いてトップに戻ることができました。ありがとうございます。ほんとうにありがとうございます。こんなけふぶくろですが、これからもどうぞよろしくご愛顧のほど、お願い申し上げます。
ええ、そうなのです。わたくしといたしましては、人形よりもやっぱり生身の美青年のほうがだんぜんいいです。ピアノがうまくて知的でかわいらしさがあれば、素敵です。

■残すところ、本選もあと二日。今晩はまたアジアデー、エチュードねえさんと渦中のアノ人とポストモダン君という、なんだかすさまじきもののあるプログラム。理性をもって臨みたいと思います。そのまえに短歌と原稿だよしっ。

■ヤン・ポピス氏とイェジー・マクシミウク氏(某巨大掲示板界隈では「歯笛先生とよっぱらい」と呼ばれているようですが)のピアノ漫才がまた見たいです。ことばがわからないなりに面白いです。

■おおうアメリカから本が届いたぞ。宗教人類学系の書物ざくざく。わくわくです。

■『かばん』12月号用の歌稿を送りました。レフコヴィッチ氏ひく《舟歌》とか《葬送行進曲つき》などの印象のパラフレーズなど。ムフ

それでは放送開始まで、しばしごきげんよう。

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おうちでショパンコンクール観戦記:本選(2)

■昼間、《北の宿から》を思わず歌ってみた。涙と怨恨と、自分にはにあわないなあ、と思いました。

■「イム・ドンヒョク ファン」でけふぶくろを検索された剛の者、お二人さまばかりお見えになりました。ドンヒョクの百面相はおもしろいとおもいますが…

■今晩の見所は、なんといってもドンヒョクの百面相です。ああ、2番を、《華麗なる大ポロネーズ》がすてきだったオーストリアのあの方とか、おそるべき《葬送行進曲つき》や《舟歌》の、作曲もなさるカナダのあの方とかがひいてくださったらば、どんなにすてきだろう、などと思えてきますが、今晩は、まずはあくまでもポーランドのテレビ局の不条理カメラワークと、ドンヒョクの百面相に注目しましょう。

ショパンコンクール本部の出しているしょぱんしんぶんGazetaに、セミファイナリストのディプロマ授与式の模様がのっています。なかなかいい写真揃いです。(レフコヴィッチ氏の写真2葉あり。金髪のうつりぐあいにはっとするようなうつくしさがある。)

■ドンヒョクを2楽章から見ました(2番)。おやっいつもの傲慢おにいちゃんなところが目立たないぞ。正面から映している時間は長かったです。たしかに百面相なのですが、特に3楽章ではいつもよりも苦しそうなお顔でした。
さっすがひょくちゃん、本選出場者で、いままで聴いてきたなかでは、いちばんうまいではないか。技巧はとても確かで、正確無比ともいえましょう。とても硬質な音質が独特で、そこに、冷酷な優雅さ、といってもいいような美しさが宿ります。わたしは、彼があの音色で弾くコンピューター制御の精密機械のようなショパンに接すると、すばらしい技巧にふれた驚異を覚えながらも、その一方で、音楽とともにあることの幸福など求めるな、と、拒絶されているように感じるのですが、きっと、あの冷酷さこそがすばらしい、と感じるひともあるのでしょう。いまの彼のつくる音楽に本質的に備わる、楽曲との距離感(デタッチメント)というのとも異なる、ある種の冷たい残酷さに近しいものを感じられるか、そこが分かれ道のような気もします。
客席からは大歓声。そりゃ、本選ですもの、上手い演奏を聴きたいもの。客席の映像に一瞬チャン・シャオインさんが映ったのを発見。

■せきもとくんが出ている。え、えんかだ。コブシまわるまわる。冷涼なワルシャワの晩秋というよりは、東京あたりの温気のこもった秋雨のころの音がする。新宿副都心のシティホテルのラウンジあたりでかかってそうなショパン。カワイのピアノの、過剰なまでに華やかな音色が印象的。技巧は正確なのだけれど…
3楽章、ときどきへんなためがはいるけれど、いいよ、向いてる。きのうの女子のみなさんよりは、表情に作為的なものがないところは、好感がもてる。

■後ろで夫が「やっぱりレフコヴィッチの演奏が聴きたかったなあ。ヴンダーもききたかったなあ。」と申しております。ええ、わたしもまったく同感です。

■それではおやすみなさい。

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19. Oktober 05

おうちでショパンコンクール観戦記:本選(1)

■本選がはじまりました。夫婦でPCの前に座っています。こうなったら最後まで見届けてやろう。結局起きているではないか自分。
指揮はアントニー・ヴィットせんせい。職人芸です。
とにかく、カメラワークが抜群に面白いです。美男子(バスーンの兄さんがなかなかの美形)そして美女の楽員に切り替わったり、脈絡もなく客席中央の通路を前後に迫ったり退いたりしたりしています(2階席にも前後に自由に動けるカメラを載せる装置があるようだ)。これだけでも必見です。ドンヒョクの百面相にはどのように対応するのでしょうか。期待が高まります。
うわあ。ヤン・ポピス氏がNさんのドレス色のネクタイをしている。民族衣装風のシャツに身を包んでたのしそうに熱弁を振るうイェジー・マクシミウク氏(おおもの←イギリスのオケをよく振っている。どきどき)のとなりできまりわるそうにしています。ポーランド語ちゃんとわかればもっと面白いのになあ。

■ポーランド期待の星、ヤチェク・コルトゥス君。健康そうな美少年です。素直で清潔、着実に弾いています。

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18. Oktober 05

おうちでショパンコンクール観戦記:本選のまえのひととき

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■左の画像=漫才「イム兄弟」を演じ終わってはっと正気に戻るWWFホッキョクノウサギぬいぐるみのメトネル兄弟


■月曜日の朝の講義は無事に乗り切りました。ひきつづき、ふだんどおり仕事をしています。
しかしです。私がくやしがってもどうしようもないのですが、やるかたないやら、気持ち悪いやら。我が家では夫婦で「ヴンダー!!レフコヴィッチ!!なぜだーーーーっ!!」と、食事のたびに申しております。私など、情念がたかぶって、にょろにょろ床を這うLANケーブルにけつまずいて、ひきちぎってしまいました。池袋まで地下鉄に乗って新しいLANケーブルを買いに行きました。1年経つだけでずいぶん性能が向上するものですね。快適です。私のなげきかなしみように、「おはがき」と「素まんがファクス」でレフコヴィッチ氏の似顔絵を送ってくれた友人よ、ありがとう。

■さて、へたな音楽ミステリーよりずっと面白いショパンコンクール観戦。いよいよ終盤戦になってまいりました。パトロネジとか、名誉愛とか、上昇志向(野心ともいう)とか、エスニシティとか、文化の普遍一般性と、権力と儀礼と祝祭とか、そういうテクニカルタームが、ただいまあたまのなかをとびかっています。なんだか西洋古代史研究の世界などでもとても好まれる問題のたてかただなあと思いつつ、一連のできごとを観察しています。グローバリゼーションと音楽やら、インターネットとゆるやかな祝祭性のつながりのはなしなどで切っても、面白い話が書けるかもしれません。辻井君のお師匠さんの川上昌裕氏のいう「驚くべき事実」って何だろう。たしかに、いまはまだ多くを語るべきときではないのかもしれません。川上氏、ウェブサイトに、不透明な審査過程や、裏取引について、まっとう正当至極なご意見を発表しておられます。感動しました。
そうなのですよ。辻井君の2次の演奏も、ほんとうに人の心をきよらかな気持ちにするものでしたもの。ともあれ、音楽も、詩も、そして学問も、ひとをしあわせにするものであってほしいです。人間の本質は蛇のような賢しらだけではないと思いたい。理性をもって観察します。もっとも、プロレスを観るように楽しむというやりかたもありますね。

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16. Oktober 05

おうちでショパンコンクール観戦記:2次予選(4)と結果

■山本君の人気、すさまじいものがありますね。ポストモダン少年、同世代の人にとってはとりわけどきどきわくわくものなのではないだろうかと推察します。ラファウ・ブレハッチはもう別格。ショパンのかげなどがどこかにいるのではないかと思わず画面に目をこらしました。ドンミン渋いです。英国王立音楽院のChang Chiao-Yingのソナタ3番がなかなかでした。すうっと背筋を伸ばして端正で清楚な音楽をつくるあたりが、RAMの芸風のいいところ。がむばつてほしいなあ。結果が出てからまた書きます。

■2次予選の結果が発表されました。
我が家の予想的中率は8人でした。
韓国勢とポーランド勢とポストモダン青年はなるほどです。
彼らの演奏は聴くと思います。
しかし、一介のしろうとが言うのもなんですが、なんだか、この結果には、政治の香りがただよいますよね。あと、作為的なピアニズムが好かれるのかなあ、という印象もあります。ショパンがさぞお墓の中で嘆いているでしょう。こんなんでいいのか??やっぱり心の叫びと官能と低回趣味よね、の、詩の新人賞みたいなものかしら。

■なんだか気持ち悪くて眼が冴えてしまいました。気分をきりかえなくては。中継を流しながら作業中です。スタジオに抗議の電話が続々。やっぱりなー。

■抒情たっぷりのひとびと、西洋はにわのインゴルフ・ヴンダー君も、ラヴリーおかっぱの、ドミトリー・レフコヴィッチ氏も、マルコ・ムストネンも、ふらんす伊達おのこブランギエ氏もいない本選なんて、つまらない。どんなおもしろいショパンが聴けるだろうとたのしみにしていたのですけれど。
ともあれ、彼らの演奏は音楽の喜びにあふれていました。ピアノをひく喜びを思い出させてくれました。またいつか聴きたいです。
盟友・堀内理恵子の友達のエスター・パクさんも応援していたんだけれどなあ。
敗者復活戦の妄想がたくましくなります。

■あっドンヒョクのマズルカが映った。なんかすごくいやなかんじ。中継映像のウィンドウを閉じました。

■それでは明日に備えてお休みなさい。

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15. Oktober 05

おうちでショパンコンクール観戦記:2次予選(3)

■2次予選3日目。ポーリッシュ美青年クシュシトフ・チャスコフスキ、辻井君、日本にめずらしい個性派の山本貴志くんなどが出場。

■検索ヒット数から推測する、このサイトにお越しくださるみなさまの、今週の人気コンテスタントランキング。
ラファウ・ブレハッチ 15
山本貴志   10
永野光太郎 8
イム・ドンヒョク 5
マルコ・ムストネン 2

午後6時現在。ハッチだんとつです。

■美青年(クシュシトフ・チャスコフスキ)の演奏映像をみて、「この子カワイイわねー」などと、実家の母のようなことを言っている自分にきづいてどっきりする。血は争えないなあ。でも、美青年、音楽がなよなよしているなあ。ポーランドには、ピョートル・アンデジェフスキのような、なよなよピアニズムの人もいるのだけれど。はらはらさせるような場面もあったけれど、地元は大声援。おおう女性の声でブラボーが聞こえるぞう。


■辻井君。きれいな音で、純真な音楽をつくっていた。寄らば斬るぞ、の肩に力の入ったハラキリ・ミュージックではまったくない。ショパンの剛毅な側面がどうしてもまろやかになってしまったり、情感がたんたんと流れすぎたりもするような、ある種の弱さは否めないけれど、良い線行ってると思う。よく研究されたマズルカ(と夫が言っている)。会場は大喝采。大ブラボー。辻井君、こうなったら本選にのこって、ぜひぜひコンチェルトをひいてくれえ。いつか東京オペラシティで聴いた演奏を思い出す。

■辻井君の次に弾いたポーリッシュ男子の演奏がかなりのマッチョぶりで、おどろく。

■ともかく、いままで聴いたうちでは、1次でのブレハッチは別格としても、やっぱりドミトリー・レフコヴィッチがいいなあ。音楽も人もチャーミングだし、なにか訴えるものをもっているし。あんなにさわやかな英雄ポロネーズはなかなか聴けるものではない。
ドンヒョクは技術的にはばつぐんだけど、《葬送行進曲つき》で「オレ最強」をやるのは、やっぱり、音楽以前に、ひととしてなにかが違うような気がする。

■itvpのトップページに行ったら、教皇ベネディクト一六世(別名:べねちゃん)のご尊顔のアイコンを発見。あの悪人顔にひかれて開けてみたら、晩年のJPII(おなつかしい)の柔和なお顔をあしらった教会関係ニュースの番組サイトが。ぐぐっと格好いいデザイン。ただしポーランド語っぽい。

■さて日本時間夜中の時間帯。インゴルフ・ヴンダー(オーストリア)。三番のソナタからはじまった。一聴してわかる、まさにwunderbarな、すんばらしい演奏。アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズが絶品。ヨーロッパのショパンだなあ。会場大喝采。レフコヴィッチに強敵現るの観あり(やっぱりカナダは西洋古典音楽の伝統の浅さが魅力でもあり弱点でもあり)。ブレハッチと本選で勝負しそうな予感がする。この人も本選に来そう、旧き良きショパンコンクールの息吹がする、でも、正面から見ると西洋はにわにみえる(と夫が言っている)。

■山本貴志君登場。すさまじい強キャラ。物腰がさわやか、笑顔がキュート。いままでみた日本人のなかでは一番うまい。弾いてる姿がグールドっぽい。夫のはなしでは、いろいろな過去の名ピアニストのスタイルをよく研究して自家薬籠中のものにして自然に聴かせる複写能力にたけているのだけれど、それとなく、スタイルの引用もとがわかってしまうところもある、ということだった。それってある意味、いまの日本らしいのかもしれない。
新宗教研究の文脈では(とても大胆に要約すれば)、コラージュを多用するタイプの新しい宗教運動を「ハイパー宗教」、古典神話からのコラージュを多用して作り上げる現代の創作神話を「ハイパー神話」、といった用語のつかいかたをするのだけれど、それを援用するなら、山本君はハイパーピアニスト、ということになるのだろうか。

■ちなみになかけふの作業環境は、一台のノートPCをつかって、ブロードバンドで中継をつなぎつつ、ワードもあけて作業する環境です。

■明日(16日)深夜には結果判明の模様。月曜日1限から仕事だなあ。ううむ。それでは今晩はこれでおやすみなさい。

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14. Oktober 05

おうちでショパンコンクール観戦記:2次予選(2)

■夕飯の買い物から戻ってきたら、イム・ドンヒョクの出番がはじまっていた。ソナタ2番。もちろんドンドンヒョクヒョクと百面相満載である。やはり、舞台の正面にスクリーンを設置して彼の百面相を映すコンサートをぜひ見たいと思う。たしかに技巧はとてもシャープなのだけれど、はっきりいって、からっぽではないか。葬送行進曲つきよりも、3番のほうが、「オレ最強」はやりやすいのではないだろうか。ぽくーとした兄ちゃんのドンミンは3番をひくらしい。

■マルコ・ムストネン。ソナタ2番、マズルカ作品33、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ。おおう音楽が生きている。とても自然だ。ドンヒョクの冷酷な演奏のあとに聴くとほっとする。アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズが素敵。アンダンテ・スピアナートの冒頭部分など、この世のむこうの世界が見えてしまうようなうつくしさ。このひと、キュレイターになった大学時代の知り合いに雰囲気がなんとなく似ている。彼も歌心たっぷりのピアノをひく人だったけれど。

この二人は本選に来そうな気がする。

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おうちでショパコン。(7)改め、おうちでショパンコンクール観戦記:2次予選(1)

2次予選1日目。夜中の生中継から見る。
■ヤチェク・コルトゥスくん17歳。ポーリッシュの金髪の少年、とてもラヴリーである。ソナタ2番、マズルカ作品17,英雄ポロネーズ。すっきり薄味、クリーンな演奏。清澄な、泥臭さのないマズルカも印象的。17でこれだけ弾ければたいしたものだ(と夫が言っている)。客席からは地元の人の大声援。
■つづいてオルガ・コズロヴァ。ロシアの19歳。格闘家のような雰囲気もある娘さん。どっしりもっちりしたポロネーズ5番。うーむ。まじめなピアノの先生のお手本演奏を聴いているような気分もする(無口)

■つづき。起きたらカナダのおかっぱくんことドミトリー・レフコヴィッチを再放送枠でやっていた。2次予選に残った面々のなかでは最年長(26歳)。ソナタ2番、マズルカ作品30、英雄ポロネーズ。いやあ。いいなあ。音楽に独自の世界がある。とてもセンシティヴで、知性もあるなあ。ソナタの葬送行進曲とフィナーレのうたいかたもこまやかで、陰翳のうつろいが説得的に加わっている。そしてあのひそやかな苦悶の表情!泪出そう。フィナーレなど、ただユニゾンを猛スピードでばりっときめればいいというものではない、ということがよくわかる。マズルカもちゃんとマズルカしていて、しかも抒情的な表情のうつろいがチャーミング。どろくささのなさには、評価が分かれるのかもしれない。(あとから思えば、ソクーロフ映画のような、陽光のふるえ、のようなものさえ感じられたのだけれど。)英雄ポロネーズ、さわやかだねえ。胸がすくねえ。実はこのひとうまいと思う。名教師名演奏家のマスタークラスにデモンストレーターとして出場する若者たちとそうかわらぬ若者たちの演奏が続くなかでは、ぐっと大人の演奏に感じられて素敵。とってもラヴリーなのだけれど、ただの愛嬌だけのにいちゃんではない。本選くるかもしれないな。きてほしいなあ。

■レフコヴィッチがやはりラヴリーなことがよくわかったので、これで安心してしごとできます。2次予選二日目、ドンヒョクとソン・ヨルムは聴く予定です。

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12. Oktober 05

おうちでショパコン。(6)

medtners

■ふらんすとえげれしに注文していた本が続々届く。

■ショパンコンクール1次審査の結果が発表された。
32名が2次審査に進む。詳しくは某実況中継日記や、ショパンコンクール本家のサイトのプレスリリースをごらんください(写真コーナーにレフコヴィッチの写真がたくさんあってとても驚く。にこやかなドンヒョクとも握手をしている写真もある。とてもラヴリーである。)
ブレハッチ、山本貴志、ソン・ヨルム、イム兄弟はもちろん、マルコ・ムストネン、ヴンダー、アムラン似のバナシック、美青年チャスコフスキ、なにかとてもたのしげなレフコヴィッチも通っている。ブレハッチの次に弾いてフランス風ショパンのおもしろさを大いに発揮したブランギエも通っている。根津さん辻井君も通っている。1次を通過した面子には東洋系が多いような気がするのだけれど、気のせいだろうか。レフコヴィッチを通すところに審査員の雅量が感じられる。おおう面白くなりそうだ。ジェヴィツキ(CDはとても面白かったのだけれど。まだまだ若いな)は落ちてしまった。なかなかに個性的なアミーロフとティスマンは落ちてしまった。残念。(つづく)。

■写真=WWFホッキョクノウサギぬいぐるみ「メトネル兄弟」、漫才「イム兄弟」を演じるの図

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11. Oktober 05

おうちでショパコン。(5)

ショパンコンクールネット中継観戦記つづき。

■優勝候補最右翼のポーリッシュ、ラファウ・ブレハッチをみる。手の形が、本郷の図書館の3階にある「ショパンの手」の石膏模型そっくりで、驚く。デリケートで、のびやかで、ポエティックで、品格があって、非の打ち所のないショパン。音楽が有機的で、一貫性が失われないのがすばらしい。舟歌、スケルツォ第4番、もう泪が出そう。ショパンコンクールの1次予選を聴いてきて、まったくクリティカルなことを考えずに聴けたのははじめて。来日したらぜったい聴きに行こう。

(つづく)

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10. Oktober 05

おうちでショパコン。(4)

■連休最終日。これからのノンストップ・デイズに向けていろいろ作業する。
■ショパンコンクール1次予選つづき。いかにもビートニック・ポエトリーでも愛読していそうなフョードル・アミロフのヒッピールックに仰天。むかしは愛くるしい美少年だったのに。でも、とても上手。洗練された演奏で、さすが浜松の上位入賞者。と思ったら、音声が消えてしまったので、夕飯の買い物に行く。戻ってきたらミハウ・ビアウクの出番の、最後のほうだった。やわらかい音色の、エレガントな演奏。すこし緊張気味にも見えるけれど、コンペティションでエレガンスを発揮できるのは、貴重だと思う。

■イム・ドンミン。ドンヒョクのおにいさん。弟とおそろの服で登場。ばりっとした技に、こころやさしい叙情性の感じられる演奏。弟ほど百面相ではないし、野心ぎらぎらでもない。むしろ、楽しそうに弾いているのが感じられる。一曲目のバラード第3番は、ふだんから愛奏していそうな印象もあるのだけれど、リラックスして弾けばもっといい演奏になるのだろうなあ。私この曲すきだし。おもわずPCの画面にむかって「がんばれドンミン~~~」と声援を送る。エチュード(オクターヴ)、プレリュード作品28-16、スケルツォ第2番がみごと。

■再放送クリップでボレロを弾くピョートル・バナシックが映る。明朗快活でリズムのキレがいい。アムランにとても容姿が似ている。弟といっても通りそうなかんじだ。

■とりあえず、しごとしなくちゃ。アイロンかけなきゃ。またあとで。ブレハッチとジェヴィツキは聴きます。(つづく)