ドミトリー・レフコヴィッチ氏の進化(追記あり)
9時半に寝て3時半に起きました。あたますっきりです。
WCLVのクリーヴランド国際コンクールラジオ中継ウェブキャストでドミちゃんことドミトリー・レフコヴィッチ(Dmitri Levkovich)氏を聴きました。
今回は音声のみです。
・ハイドン Hob.XVI-50
(何度聴いても、第1楽章のイントロが「ド~ミちゃんとぼ~く」と私には聞こえます…)
・スカルラッティ K45
・ショパン 舟歌、黒鍵、夜想曲48-1(←得意技で固めた)
やっぱり私この人の演奏好きだわ。フョードル・アミーロフ先生の、異様な感覚の冴えをもってふつうの人には見えない世界をデモーニッシュに純真に拡大して聴かせてくれる音楽も得がたいものですが、ドミトリー・レフコヴィッチ氏の、プラトン的に澄んだ天体の音楽にあこがれる機知とユーモアに富んだ音楽はいまどきさらに得がたいものだと思います。
しかも彼、進化してます。品があって楽天的でユーモアのある持ち味はそのままに、陰翳と強さが加わって大人の男の音楽になったという印象をもちました(特にハイドンと舟歌と48-1)。
スカルラッティの華やかな楽天性と諧謔と憂愁は彼の芸風に合ってると思いました。とてもエレガント。暑苦しくないのです。声部の描き分け、デリケートな陰翳が完璧。もっと聴きたいぞ。
舟歌。あなた完璧よ。ざぶとんあるだけもっていきなさい。そういえば彼の弾くこの曲を題材に詩を書いて献呈したものでしたが…。おねえさん感無量です。ライヴで聴いたらもっといいんだろうなあ。
黒鍵は、実は人を笑わせるのが好きなんだろうな、と思わせるところもあり、余裕も綽々でした。技もきっちり決まっています。ショパンコンクールのときは結構一杯一杯だった48-1の解釈に深みが加わっていて、思わずうなずいてしまう。
曲ごとに盛大な拍手をもらっていました。クリーヴランドの人はうまい人に「ウホッ」「ヒュー」と声をかけるのでしょうか。最後の喝采の中に「ウホッ」という声が聞こえました。たぶん男の声だと思うんだが…
WCLVのアナウンスのおねえさまの口調がなかなか好意的でした。
ドミトリー・レフコヴィッチ氏はなかなかの美青年なのでありますが、映像無しでも楽しめます。
他の人の演奏を聴いていないのでなんともいえませんが、つぼらなければ良いところまで行くんじゃないでしょうか。
日本時間の30日4時15分からの回では、プロコとショパンソナタ3番を弾くそうなので、また早起きして聴きたいと思います。
ドミちゃんを聴けて胸のつかえが降りました。仕事に戻ります…
追記:地元紙The Plain Dealerに寄稿している音楽評論家Donald Rosenberg氏、ドミトリー・レフコヴィッチ氏を大絶賛です。「まるで夢の中にいるようだった」とのこと。それにしてもRosenberg氏の評は面白いです。簡潔かつ洞察深い評言で読み応えがあり、音楽と演奏家に対する愛情も伝わります。
http://blog.cleveland.com/reviews/cleveland_interantional_piano/
ところで、今回の強敵にはすでにコンサートピアニストとして活動していて日本でもファンを獲得しているアレクサンダー・ギンディンがいます。
もっとも、Round 2でつぼらなければドミトリー・レフコヴィッチ氏は次に行けるのではないか、とひそかに期待。
それにしても東京はあたまがとろけそうなくらい暑い…涼風をふきこんでくれたまえ~。
追記2(7/30):
4時に目覚ましかけてRound2聴きました。
(鈍行列車で茨城の内陸部の瀧のある邑に彼の演奏会を聴きに行く夢を見ました。草がきらきら輝いていた。なんだそれは。二度寝したら今度は北海道の山裾の音楽祭に参加しているドミトリー・レフコヴィッチ氏を訪ねる夢を見ました。持ち楽器の異なる若い音楽家たちがたくさん参加しているものでした。寝言を英語で言っているのに気づいてはっと目が覚めました。なんだそれは。)
プロコフィエフのエチュードに深い陰翳と黒々しいなにものかが加わったのは、たいへんすてきです。配信で聴くと、1曲目は、音声がフォルテでなくても割れるのが良くないのか、本人が爆走しているのか、それともあえて爆走寸前でがけっぷちの気分を表現しようとしているのかなんとも判然としないところがあったかもしれません。CBCのミュージック・クリップや、高松で聴いたときより格段に音楽に深みが出てきたようには感じるのですが…
ショパン3番の第1楽章はいったいに速めのテンポで、思わず落ち着けーーー!!と念じたものです。歌えるひとなだけに、それは少しもったいない気が。ああしかし口を一文字にひきむすんで涙こらえてなにかにさようならしている感じなのか。第2楽章から先はほんとうにすばらしかった。あのデリケートで透明な音楽はなかなか得がたいものです。彼の課題はやはりデモーニッシュな音楽の表現なのだろうなあと思いますが、そのあたりの苦闘も伝わってくるような第4楽章で、私たちは天使じゃない、人間なんだから、どんどんいっておしまいなさい、とつぶやいたら、なんだか泣けてきました。
もっとも、ライヴで聴くと印象がぜんぜん違って、もっと力強い輝かしい演奏なのだろうなあ。
ブラヴォー複数飛んでました(ウホッ、ヒュー、は聞こえませんでした)
ファンとしては聴けるだけで嬉しいし、もっと聴けたらほんとうに嬉しいけれど、上位8人しか次に進めないそうなので、結果ばかりは、ふたをあけてみるまでわからないかもしれないですね…(無口)
もっとも、このコンクールはpoeticな才能のある人を重んじる傾向にある、とNYC在のピアニストかけだしの友人からもきいたことがあります。もし、ほかの多くの出場者たちが弾いているものが「音楽的ではない」のであれば、彼はかなりいいところまで行けると期待します。
ちなみに、The Plain DealerのDonald Rosenberg氏、ドミトリー・レフコヴィッチ氏を激賞です。「彼の音楽はもはや別次元である。彼はこのコンクールの詩人である」とか。(喜)
詩人ってあなた、かの国ではすごいほめことばですよ。
同志…。
http://blog.cleveland.com/reviews/2007/07/cleveland_international_
piano_4.html
7/31追記:ドミトリー・レフコヴィッチ氏2次進出決定です。出番は日本時間明日の朝9時15分から。
詳細はこちらをどうぞ。
http://blog.cleveland.com/reviews/2007/07/cleveland_international_
piano_6.html
まだ気はぬけないけれど、彼に勝ち目は大いにありそうな気がします。
山野の女神風のエレーヌ・ティスマン女史が残っているのは興味深いです。
今回の中継は音声だけなので彼女の颯爽としたお姿が拝見できないのが大変残念です。
うれしいなあ…。
さあっ原稿仕上げるんだ…。
明日の中継はもちろん聴きますが、実は所属歌誌用連作の歌稿も出さないといけないので、中継聴いて即詠20首してみようという暴挙を実践するつもりです(3日、4日の本選を待っていたら歌稿のデッドラインが来てしまいます…)。感想は追って書きますね。
あ、コメント欄あけましたのでよろしければどうぞ。
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